吉見堤の碑

堤防修復を記念した碑。

(埼玉県熊谷市手島)

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切所沼からほんの少し上流の荒川右岸堤防に碑があるというので見に行った。

明治43年(1910)に発生した破堤を修復した記念碑だ。

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明治43年8月に台風の通過によって関東地方全域で発生した水害で、荒川水系、利根川水系の堤防がいたることろで破堤し、埼玉県内の平野部(台地以外)のほぼ全体が冠水したという空前絶後の大災害だった。埼玉だけでなく東京の下町も大きな被害を受けた。

この災害がきっかけになって荒川中流の直線化や横堤設置が始まり、さらに大きな改修工事としては、それまで荒川の河口は隅田川だったのを中川の河口に付け替える「荒川放水路」の掘削工事も決まった。

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この吉見堤の破堤箇所は現在はその周囲も含めて決壊地形の痕跡は感じられない。碑が立っているだけだ。

ただこの碑があるのは堤防上のサイクリングロードの高さではなく、堤防法面の低い位置。

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明治時代に修復したという堤防はこの碑の高さだったのだろう。現在の堤防1/3ほどの高さしかない。

この付近では昭和22年(1947)のカスリーン台風で左岸堤防が破堤している。

(2022年11月22日訪問)