切所沼

荒川右岸を代表する落堀。

(埼玉県熊谷市小泉)

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熊谷市の荒川南岸にあるヘラブナの釣り場、切所沼(きれしょぬま)に来てみた。

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広い駐車場にきれいなトイレがあり、女性や子ども連れでも安心して利用できる釣り場だ。

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この沼の名前「()(しょ)」はあからさまに堤防が切れた場所という地名だ。少し前に紹介した「中の淵」と同じ落堀(おっぽり)である。

空中から見て堤防が不自然に左に曲がっている箇所が堤防が決壊した場所だ。堤防を修復するとき、決壊でえぐれた場所を避けて左側に土を積んだため堤防が曲がってしまっている。

もちろん現代であれば大規模な土木工事で地盤固めをして同じ場所に強固な堤防を再建するので、このような曲がりは生じない。だが過去には沼の上に新しい堤防を造るのは難しかった時代があったのだ。

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この決壊箇所から下流側が旧大里町の中曽根地区になる。矢印の場所が先に紹介した南市田神社火の見櫓がある場所だ。

中曽根地区が荒川の水害を受けやすい場所だということがよくわかる。

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過去に水害が発生した場所でよく見る水防倉庫。

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写真映えするものではないけれど、記録しておこう。

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堤防の上に登ってみた。

サイクリングロードになっていて、ここで災害が発生したなんて想像しにくいのどかな場所だ。

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荒川の対岸には熊谷市街が見えている。県北の中核商業都市だ。

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釣り場としての切所沼を見ていこう。

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沼の面積は7,200㎡ある大きな沼だ。

貸ボートなどはないので岸辺からの釣りになる。

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遊漁料は日釣りが400円、年間が3,100円。ほかに桟橋使用料として年間2,000円が必要。実質的に年間の遊漁料は5,100円になるが、中の淵よりも少しだけ安い。

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桟橋はしっかりしていて上に乗っても不安はない。

ただし桟橋があるのは沼の外周の1/4程度。

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沼全体を桟橋で囲んでしまうと、人工的な釣り堀みたいになってしまうが、ここは自然の湖岸が多いので気持ちがいい。

釣りをしなくても沼の回りを散歩するだけの目的で来てもいいと思う。

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西側にある流入点。

荒川右岸堤防下の用水路が流れ込んでいる。

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沼尻には水門があり、吐き出される水は和田吉野川の支流、通殿川の水源になっている。

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ほかにもう2本、常時吐き出されている用水路があり、その周辺は公園になっている。

(2022年10月29日訪問)