法用寺

登頂可能な三重塔。いつか登ってみたいものだ。

(福島県会津美里町雀林)

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法用寺は会津高田町の西側の山並みにある天台宗の名刹である。

写真の八脚門は室町時代の建築で、仁王像は平安中期のものといわれ国重文。本堂は観音堂。内部の厨子は鎌倉時代のものとされ、やはり国重文に指定されている。

建築は、八脚門、本堂、観音堂、鐘楼、三重塔である。本堂は三重塔のさらに奥にあり、近年の築であるが天台宗らしい好感の持てる木造建築である。

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実はこの寺を訪れるのは2回目で、目当ては三重塔だ。

日本の建築史上、仏塔は古代には仏舎利を祀るという機能をもった建築として成立し、徐々にシンボリックな存在に変化したというのは、学校の教科書でも習うのでご存知のことかと思う。

私は塔の歴史には、江戸期に「観光目的の塔」という新たな展開があったとにらんでいる。法用寺三重塔はその有力な候補なのだ。

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古い時代の三重塔や五重塔の内部は構造材で満たされていて、ほとんど人が入る余地が無かった。しかし江戸期には高層建築を建てる技術が発達し、三重塔の2層3層部分の小屋組み内部に階段を作れるようなスペースが確保できるようになった。そこで、三重塔の内部に階段をつけ、2階3階に仏像を安置し、参拝客を登らせるという塔が出現する。

そのような塔は地方に確実に存在するし、現在でもコンクリート造の観光目的の塔などにその精神は引き継がれている。塔を外から眺めるだけでなく登ってみたいと思うのは、時代に関係なく誰もが考えることなのだろう。

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法用寺の三重塔には1階の四天柱の裏面に階段があり、上層に上れるようになっている。私はこの三重塔は「観光三重塔」のはしりではないかと考えている。建立されたのは安永年間(1770年代)であり、年代的には本所羅漢寺さざえ堂と同時期であるという符合も気になるところだ。また会津盆地三階建築群の一つとしてとらえることもできるだろう。

前回来たときには内部に入れなくて心残りだったので、今回はなんとかならないかと思っていろいろと試みてみたがやはりダメであった。(まさか住職に「登りたいから鍵を開けてくれ」とも言えないし‥‥。)

(1999年08月22日訪問)

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ムック – 2022/7/25
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