千一会不動院

洞窟形式の奥の院、道場のような教会。

(岐阜県各務原市鵜沼大安寺町1丁目)

大安寺を後にし、関市方面へと向かう。大安寺から関市に行くには狭い峠があって、そこを通れば近道だ。地図を見ると途中に迫間不動という寺もあるようだし、その狭い峠を越えることにした。大安寺の門前にはぼんぼりが建ち並んでいるのだが、大安寺を過ぎてもぼんぼりが続いていて、道の両わきには茶屋などがある。怪訝に思って進んでいくと、道路の左側に「一乗不動院入口」という看板が目に入った。もちろん、いくら私でも寺の看板を見るたびに必ず立ち寄るという訳ではない。しかし、その看板からなにか“血気盛んなオーラ"のようなものを感じとって細い道に分け入ってみた。

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細い山道を100mほど進むと、そこにあったのは武道場のような建物だ。しかも、入口には剣道の防具とメンをつけた練習用のダミー人形(?)が置かれている。

ここは精神鍛練のために宗教的な修業を取り入れた剣道の道場なのだな、と勝手に解釈した。

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‥‥で、中に入ってみると、そこは畳敷きの広間になっていて、(剣道場なら板敷きのはず。)

広間の奥の方には薄暗い空間があり、溶岩でできた岩山の上に不動明王が鎮座いしていた。

お寺の分類からすれば、「教会」というジャンルの施設だ。

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そして、教会の前の山には洞穴が!

う~ん、なんともうれしい巡り合わせだ。やっぱり、参道入口付近のオーラにつられて入ってきてよかったー!

入口の頭上の岩には「奥の院」と書かれている。

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内部は全長20mくらいで、人造の洞窟だ。

途中2ヶ所に蛍光灯がともっており、懐中電灯などは必要ない。

洞窟の奥にはやはり不動明王の石像があった。

この不動院、道路地図にも出ていない小さな寺(?)だが、洞窟奥の院で一見の観光客を喜ばせるような演出が心憎い。宗派は一乗不動教ということだが、詳細は不明。(不動教という宗派が名古屋にあるようだが同じものか?) それにしても、入口に据え付けられている剣道人形はなんなのだろう。謎が残った教会だった。

(2000年04月30日訪問)

図解/古建築入門: 日本建築はどう造られているか

単行本 – 1990/11/1
西 和夫 (著)

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寺院建築の架構が最も理解しやすく書かれている本だと思います。