栄鏡院。大雄寺の北隣にある寺。境内は、豊川稲荷社、千体弘法堂、本堂兼庫裏。
そう言えば、この旅行記を書き始めてから“本堂兼庫裏"という言葉を初めて使った気がする。本堂(その寺のメインの仏堂)と庫裏(住職の住まい)が同じ建物であることを言い表した言葉だ。“本堂兼庫裏"‥‥寺巡りをする者がこの言葉で寺の概要を表現するとき、そこにある種の脱力感がともなうのは避けられない。
しかしこの栄鏡院は単に庫裏だけの寺というわけではなく、豊川稲荷社と千体弘法堂があるので、実際は見どころがあり、東山寺町めぐりの道程でも最も印象の強い寺となった。
千体弘法堂の内部。弘法大師の座像か? 数えたわけではないが1000体くらいはありそうだ。
散策コースは次の寺、雲龍寺の裏門へと至る。裏門は棟門である。散策コースは寺の境内を通行するようになっているのだ。
裏門から入り、境内から裏門方向を見た様子。奥に見える入母屋の屋根は大雄寺の本堂である。
門を入ると土蔵があり内部には烏枢沙摩明王が祀られていた。
境内には他に、本堂(写真)、玄関、庫裏、三間一戸鐘楼門。
鐘楼門は三間一戸というよりも規模的には一間一戸(つまり鐘楼のように、間口一間の楼門)のようですらある。屋根は宝形のような寄棟のようなどっちつかずの構造。裏側に階段がありその気になれば登れそうだ。「登るな」と書いてあったのであえて登ることはしなかったが。
参道は石段&石畳になっている。散策コースは裏からは入って、表から出てきたわけだ。
雲龍寺の正門から外に出ると、門前に久昌寺という寺がある。塔頭か?
飛騨三十三番霊場の番外札所という看板が出ている。
境内は薬医門、願王殿(写真)、本堂兼庫裏、鐘堂。
この久昌寺が寺町散策コースの終点である。寺町としてはここでおしまいになるが、市街地の外周に沿って流れる江名子川に沿って、市北部の観光スポット桜山八幡や山車の展示館まで歩けば、高山市の飾らない一面を発見できるかもしれない。
私はここから再び市街地の中心部に戻り、本願寺高山別院へと向かった。
(2000年05月02日訪問)