住田町から一つ峠を越え、大船渡市に入る。
長安寺は市街のはずれの山間地にある巨刹。この日は地域のお祭りで神輿の巡行があり、集落の道路が通行止めになっていたため、寺に近づくのには苦労した。
総門は車が通ることもできる大きな黒塗りの釘貫門。その先には三間三戸の二重門が見える。
二重門は1階の屋根の庇部分に厚みのある、背の高い門だ。迫力のある勇壮な門と言えば言えなくもないが、正直をいえばこういう自己顕示欲の塊のような建物は見ていて疲れる。江戸期に発達した木割法は小さい建築の設計をただ等倍に大きくしたような建物を可能にしたが、私はあまり褒められたものではないと思っている。建築にはスケール感にあった構造や意匠があるべきだと思うのだが。
この二重門には伝説があって、建立当時ケヤキの門は御法度であった。そのケヤキ材を使った門を造っていることが藩主に知れて取り壊しを命ぜられたが、これは仏殿だ、などと言いわけをしてなんとか取り壊しを免れた。しかしそれ以後の工事を禁止されたため門は未完成のままなのだという。
本堂は正面9間の巨大な堂で、いかにも浄土真宗という感じの造りだ。
本堂の右手前には鼓楼。
本堂の左手前には鐘堂。
いずれもまだ新しい。
本堂の左には水盤舎。そして左奥には渡り廊下が続いていて茶室のようなものがあった。
他に、境内には庫裏、書院など。
楼門にしても、重層の鼓楼にしても、とにかく目立ちたがりな感じの寺だった。
(2000年10月07日訪問)