清水寺

両山寺と同じような護法祭があるという。

(岡山県久米南町上籾)

ところで、大垪和の棚田から小山の棚田へ向かう途中には両山寺という寺がある。小山への往路では「両山寺には帰りに寄ればいいか」と思っていたのだが、帰路にはすっかり忘れて通り過ぎてしまい、思い出したのはすでに大垪和を離れて次の目的地へと向かって峠を越えている最中だった。今日は旅の最終日で時間を節約しておきたいというのもあったし、狭い山道を2往復するのも気が重い。両山寺は護法祭という奇祭で有名な寺だ。「またいつかその祭の日に訪れることにすればよい」と自分に言い聞かせて、次の目的地である上籾の棚田へと向かった。

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その上籾に向かう途中で「清水寺入口」という看板があったので、両山寺の代わりに寄ってみることにした。

場所も山奥でもあり、あまり期待していなかったのだが、着いてみると楼門のある予想外に立派な寺だった。周囲は白壁に囲まれていて、山門は三間一戸の仁王門の鐘楼門。

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山門を入るとすぐ左側には信徒会館。内部は板敷きの大広間になっていた。実はこの清水寺にも、両山寺と同じ護法祭が伝わっているらしい。護法祭というのは精進潔斎をした護法実(ごぼうざね)と呼ばれる男性に神が憑いてトランス状態で飛び回るというもの。護法実に触れられると1年以内に死ぬといわれ、参詣者たちは逃げ惑うという物騒な祭りだ。この建物はその際、参拝者などを接待する場所なのか。かなりの人数が休めそうだ。

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その隣には庫裏。茅葺きの大きな建物だが、作りとしては庫裏というよりも大きな農家のような感じだ。

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庫裏の先には短い石段があり観音堂がある。

観音堂の周囲には地蔵堂×2、護摩堂がある。

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観音堂は宝形造で、柱は丸柱。

ずいぶん補修されてはいるが、建物自体は江戸初期~安土桃山くらいまでさかのぼりそうな感じだ。

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その根拠とするところは、斗供の間にある「間斗束(けんとづか)」が比較的古式であるという点、また、部材の風化具合、

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および、手挟(たばさみ)み(中央柱の上から右上に伸びている雲の模様の彫刻)や、木鼻(柱の上部にある象や獏の彫刻)があまり技巧的でないという点だ。

まあ、あくまでも感触的なものでしかないけれど‥‥。

(2001年05月05日訪問)

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ムック – 2024/1/11
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