旅の3日目は朝から雨。それも傘をささなければずぶ濡れになるような強い雨足だ。午前中は水沢市内の城下町の名残りや武家屋敷でも見学しようかと思っていたが、この雨の中を歩き回る気にはなれない。水沢市の町の見学はやめて早々に次の目的地に行くことにした。
最初に訪れたのは水沢市の南の前沢町にある霊桃寺(れいとうじ)。
北上川の西岸、奥州街道に沿った場所にある。境内は河岸段丘の崖を背負う立地にあり、背後は杉林だ(。実はここから一関市までは同じような風景が続き、寺の立地も町の雰囲気も似ているので記憶がごっちゃになってしまいそうな寺が多い‥‥。
入口は石門で、しばらく進むと石造の仁王像がある。この仁王像、初日に見た極楽寺の仁王像と同じ作者の手によるものだろう。ポーズこそ違え、筋肉や衣のヒダの表現などはまったく同じだ。
山門は茶色い塗り瓦の薬医門
薬医門の前には石造の地蔵像があり、その手前には六地蔵を彫り込んだ後生車がある。
後生車というのは南無阿弥陀仏の文字が彫り込まれたホイールを回転させて死者を供養するという装置。マニ車や輪蔵などが横回転なのに後生車は縦回転なのが特徴だ。
境内に入ると山門の正面には鎮守社。右側には本堂、庫裏がある。
山門を入って左側には三十三観音霊場。
境内の左端には単層の鐘堂。人が中に入れる建築としての鐘堂としては最小サイズのものだ。(人が中に入れないようなミニチュアの鐘堂ならもっと小さいものもあるが。)
この寺にはなぜかもう一つ別に鐘堂がある。一つの寺に二つの鐘堂というのも珍しい。
三十三観音堂。本堂の左側にある。
はじめは外見からして輪蔵かと思ったが中を見てみたら三十三観音であった。
庫裏は2階建の大庫裏だ。開口部が複雑に付いていて、まるでパズルのよう。2階に登ってみたい‥‥。
この庫裏には“花園会館"という名前が付けられており、現在は客殿として使われているようだ。新しい庫裏がさらに右側に建てられている。
庫裏の前にある第2鐘堂。
(2001年08月13日訪問)