仙台市街の北側に「北山」という地名がある。実際に市街のほうから来ると、小さな尾根があって山になっている。その山の尾根に寺が点々とあってちょっとした寺町を形成している。
輪王寺はその北山の寺の中でも随一の規模をほこる寺で、京都の北山になぞらえるなら仁和寺に相当するような寺だ。
表通りには柵の門がある。こういう門を何と呼ぶのだろう。「木戸」と呼びそうだが「木戸門」というのはまた別の言葉になってしまう。「柵門」とでも呼べば良いのか‥‥
木戸を入ってしばらく行ったところに八脚門の仁王門がある。
仁王門の先は長い石畳の参道が続いている。
雰囲気のよい参道なのでこのまま歩いて参詣したいところなのだが仁王門付近には駐車スペースはないので、いったん車に戻り境内の駐車場まで移動することにした。
境内へと移動。
このエリアに
水盤舎とその奥にパゴダ風の建物が二棟見える。
よくはわからないが位牌堂ということにしておく。
本堂の右側には庫裏があり、その前に鐘堂。写真奥に見えるのは東司。
本堂と庫裏の間には狭い通路があり、本堂裏の日本庭園への入り口になっている。遊園地のゲートのようなものが設置されていて、拝観料は300円。
中に入ると大きな池があり、池のほとりに三重塔が建っていた。
三重塔はRC造。近くまで寄れるが、近くまで行けば行くほど味気ない造形が気になる塔だ。
屋根に反りもあるし、組み物や垂木も一応あるのだが、どこか大味な感じがする。その一番の理由は各階の開口部の処理にある。三間の場合、中央の一間を桟唐戸か板唐戸として、両わきの一間を連子窓や花頭窓にするのが普通だ。ところがこの塔では中央一間が連子窓で両側ははめ殺しの壁になっている。これが遠くから見るといかにもちゃちな印象を与えるのだ。
このような作りにしたのは強度のためなのだろう。(塔の四面の各三間にすべて開口部を造ったのでは壁が無くなってしまい、横方向の力に弱くなってしまう。)だが、せっかく他の部分をきちんと造ったのにこの開口部の処理のせいで塔の印象はずいぶん悪くなってしまった。どうせ連子窓というものはほとんどはめ殺しのようなものなのだから壁の表面にレリーフ状の連子窓をつけるようにしたほうが良かったのではないだろうか。
塔の付近には廟のようなものがあった。
庭は池を中心とした回遊式の日本庭園。池にはいくつかの橋が架かっていて自由に散策できる。
ただ、庭としては少し野趣に過ぎるような気がした。木の種類と量が多すぎるのだ。
庭には茶室もある。
輪王寺はここまで見てきた仙台の寺々のなかではいちばん雰囲気のある寺だった。仙台の主要な観光ルートではないのかもしれないが、この北山界隈は静かな雰囲気を求めて散策するのには悪くないと思う。
(2001年09月23日訪問)