続いて、山上伽藍の説明へとうつる。
伽藍配置図をよく見ると、仁王門をくぐった参道は本坊のほうへ行かずに直接山上伽藍のほうへ伸びている。行ったときには気付かなかったが、造園業者のトラックが停めてあった道が参道の続きだったのだろう。
石段を登ると弘法大師の修行像がある。
像というよりは、堂と言ってもいいかもしれない。基壇の内部にもなにか小祠のようなものが祀られている。
その基壇の周囲には、ダイカスト製の無数の弘法大師が奉納されている。
このように本来一人であるはずの神仏を無数に製作して奉納するというのは、日本以外でも仏教圏では普遍的に見られる信仰現象だが、はたして他の宗教でもおこなわれているのであろうか‥‥。
弘法大師の後ろには短い石段があり、その左右には大量の金属製の錫杖が立てられている。
石段を登ると入母屋妻入りのRC造の堂があった。
不動堂である。
この不動堂の外周は「四国霊場お砂踏み回路」なる信仰装置になっている。
「回廊の間違いでは?」と思ったが、ここまで堂々と書いてあるからには回路なのであろう。
お砂踏みというのは、実際の霊場を廻って集めてきた現地の砂を床下や座布団の中などに入れて、その上を歩くことによって、霊場を廻ったのと同じ功徳を得ようという装置である。
この堂のお砂踏みは、1つ1つの霊場の距離が近く、しかも左右に交互に埋めてあるので、八十八歩で全ての霊場を廻れるという恐ろしいほど合理的な造りになっている。
動堂からさらに石段を登る。石段の左側には不動像が並んでいる。三十六不動であろうか。
息を切らせて石段をのぼりつめると、山上伽藍の中心部に到着する。
本堂は正面五間の大きな堂。
本堂の左側には大師堂。
入母屋妻入りの堂だ。
本堂の右側には鐘堂と三十三観音堂。
三十三観音堂の内部の様子。
山上伽藍から降りる石段の両側には新四国八十八ヶ所のミニ霊場になっていた。
とにかくやたらとミニ霊場が好きな寺であった。
(2001年10月07日訪問)