四面仏と寂静庵

四国4県の霊場を4面にあしらった供養塔。

(徳島県石井町高原関)

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徳島市内から鴨島へ行くとき、徳鴨線の旧道を走るというのはそうとうの物好きか暇人だろう。でも私は何度もこの道を利用していて、気になっているものがあった。

それが、この道ばたにある石祠のような物件。

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供養塔のようなものに4本の柱で石屋根が載せてある。

その上にシャチホコがあるという奇抜な石祠だ。

以前、知多で似たようなものを見たが、まあ並行進化の結果だろう。

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供養塔は4面に弘法大師が彫られている、いわゆる四面仏。

正面は北に向いている。

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裏側、つまり南側から見たところ。

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正面(北側)は「さぬき二十三番」と書かれている。

時計回りに見ていくと、東面は「あわ二十三番」とある。

四国八十八箇所の県ごとの霊場の数だ。

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つまりこの4面を拝めば、四国八十八箇所を打ったのと同じご利益が得られるというわけ。

ミニ霊場の一種だ。

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この一角にはほかにも興味深い石仏がある。

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梵字が彫られた笠塔婆。

十三仏を祀るものか。

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組体操している六地蔵。

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なぜか四国第19番立江寺の供養塔だけが独立して建てられている。

この場所から一番近い札所は第6番安楽寺。立江寺はかなり遠い札所だ。

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この四面仏供養塔のすぐ南側に小さな庵がある。

かつては寺だったのかもしれないが、廃寺になり、公民館になったのだろう。

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公民館の南側は墓地で、その一角に小さなお堂がある。

扁額に「寂静庵」とあった。

廃寺になった寺の仏像などを納めているのではないか。

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中が覗けた。

たぶん本尊は薬師如来。

持物が五鈷杵に置き換えられているが。

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脇侍は左側が増長天(?)、右側は広目天。

広目天の手前には奪衣婆も見える。

かつてたくさんの仏像を持った寺だったのだろう。

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さらに右側には涅槃図。

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右側には地獄の絵解きがある。

小さなお堂だけど、見どころが多い。

カギがかかっていたのでサッシュ越しに見るだけだったが、開いていることがあるなら中に入ってみたい。

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四面仏供養塔の隣りには謎の小屋。

なんだろうね。とりあえず写真を撮っておこう。

いや、ここはむしろその奥に見える古い感じの藍の寝床(矢印)の写真を撮っておくべきだった。

(2003年04月05日訪問)