三ケ根観音、太山寺。
三河湾に望む三ヶ根山の尾根を走る有料道路、三ヶ根山スカイラインの途中にある寺。前回の旅ではこの付近は海岸線に沿って寺を見たので、今回は尾根を通ることにした。他に目的はないので、有料道路の通行料金410円は寺の入場料みたいなものだ。
尾根筋の道から参道が下っていて、寺はくぼ地のような場所にある。
境内を囲む斜面には三十三観音のミニ霊場がある。ひとつひとつの観音は石積みのウロに収められている。
本堂。
本堂の左側には庫裏、右側には七福神堂。
境内はくぼ地のようになっているのがわかる。
中央の幟の立っている樹は「源平咲き分けの椿」。椿の花の色で源平の戦の勝敗を占ったという。
右に見える小さな堂は毘沙門堂。
奥の石段を上がった先が比島観音の霊場となっている。
毘沙門堂近影。
毘沙門堂の近くにあった三社権現堂(?)。
太山寺の境内を通り抜けたところに、比島観音霊場という慰霊施設がある。南方戦線で亡くなった戦死者たちをまつっている。
基本的には寺の付属施設なのだが、今ではこの慰霊施設のほうが大きくなってしまい、寺はおまけのような感じだ。
霊場の中にも寺の堂宇は続いている。
下前は弘法堂、奥は淡島大明神。
四国八十八ヶ所お砂踏み霊場。
これもたぶん慰霊碑とは関係ないと思う。
比島観音。
戦死者の遺品を鋳込んであるという。
慰霊施設全体の雰囲気はあまり思想的な色合いが出ていなくて、素直に亡くなった方の冥福を祈れる感じだった。
慰霊碑は全部で82基あり、この種の施設としてはかなり大規模なものと言える。
場所が山の尾根にあるので、南側の三河湾を見渡すことができる。その先の南の海に散った英霊たちへ思いをはせる場としては絶好のロケーションといえるだろう。
休憩所。白塗りのペンキや吹き放ちになっているところが南国の島の建物のを思わせる建物だった。
壁にはフィリピンのどこで船が沈められたとか、戦死者が何人いたかなどが説明されていた。この説明も戦争を賛美するでも非難するでもない淡々とした感じだった。
比島観音の近くには、海中から引き揚げられたゼロ戦のエンジンが安置されていた。
(2001年11月23日訪問)