総社の養蚕農家

山王廃寺の境内だった場所には巨大な養蚕農家群が。

(群馬県前橋市総社町総社)

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山王廃寺があるあたりは、養蚕農家が密集した集落になっている。急ぐ旅ではないので、集落を一廻りしてみた。

この家は、山王廃寺の講堂が建っていたあたりにある巨大な農家。二軒がつながったような造りになっている。先代(大正ごろか?)のときに蚕種業(蚕の卵の製造販売)をしたことがありそのときに増築したのだという。

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まるで城門のような巨大な長屋門のある農家。これ、主屋ではなく門である。

門の中でも養蚕をしたのだろう。

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大きな煙出しのある農家。庭も広く、視線を遮るような造園に豊かさを感じる。

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小さな櫓を連ねた農家。

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左勝手(入口の土間が左側にある造り)の玄関を持った農家。かつて養蚕がいかに富をもたらしたのかがよくわかる。

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中央に玄関を持つ農家。煙出しは大棟いっぱいに続いている。

農村の出身の人が、「自分の実家には部屋がいくつあるかよくわからない」というようなすごい発言をすることがあるが、きっとこういう農家なんだろう。

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キレイにしつらえられた防風垣(かしぐね)。群馬らしい風景だ。

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道ばたの倉庫の天井に藁蔟(わらまぶし)が放置されていた。これは昭和三十年代まで使われていた、カイコに繭を作らせるための古い道具。

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敷地の柵には蚕箔(さんぱく)が使われている。これも昭和三十年代にカイコを飼育するために使われた飼育台だ。群馬では蚕箔のことを「カゴ」とも呼ぶ。

群馬県の蚕箔は六芒星のような篭目に編んであるので装飾的にも美しい。たまに農家の庭などで柵として使われている。

(2007年05月03日訪問)