磯部駅の南側は工業団地になっていて、信越化学工業の巨大な工場がある。その従業員用の駐車場で毎年、どんど焼きが行われている。信越化学としては地域貢献のために駐車場を提供しているのだろう。
開催されるのは成人の日の午前11時ごろ。どんど焼きは小正月の行事で、本来は14日の夜もしくは15日の早朝に行われる。以前は成人の日が1月15日固定だったため都合がよかったが、成人の日が1月第二月曜に変更されたため、成人の日にあわせて小正月以前に終わらせてしまう地域がほとんどだ。
幟には「磯部第二区 祝どんどん焼き」とあるが、本ページのタイトルは一般的な「どんど焼き」とした。
奥に見える山並みは、奇峰、妙義山。このどんど焼きのオープニングでは、妙義大明神が祝詞をあげるのだが、この山から下りてきた天狗なのである。
祝詞に引き続いて、天狗が「小屋」に点火する。
以前紹介した高浜西地区のどんど焼きでは、地域の「オレが、オレが」というタイプの大人たちが争って点火していて危険な感じだった。このような整然とした点火方法のほうがいいように思う。
もっとも、その高浜西地区のどんど焼きも、子ども不足でもう途絶えてしまった。
燃え上がる小屋。
青竹がはぜる音が「ボーン、ボーン」と鳴り響く。花火と同じくらいの音量でかなり迫力がある。
さて、どんど焼きのお楽しみといえば、小屋の燃え残りであぶって食べる団子「マユダマ」である。
マユダマは本来、白だけのはずだが、このようなピンクや緑の色をつけたものも各地で見られる。
マユダマのほか、アタリメ(スルメ)を焼く人も多い。アタリメも縁起物として、神棚などに供えられる品だ。
とりあえず、当サイトとしては、どんど焼きで「何を」「どのように」焼いているかというところを記録していきたいと思っている。
磯部ではアタリメが灰臭くならないように、アルミ箔で被っている人が目立った。
マユダマにもアルミ箔。
マユダマは養蚕の繭が豊作になるようにとの予祝とされている。
マユダマは、群馬県ではミズキの枝に団子を挿してあぶる。ミズキは冬でも枝に水分が多く、火にかけても燃えることがないからだ。枝はかなり長くないと輻射熱が熱くて満足にあぶることができない。
遠巻きにしつつ、それでも必死にマユダマをあぶる人々。
高浜で見られたような、書き初めの書を投げ入れる人はここでは見かけなかった。
磯部のどんど焼きは聞くところでは、永年続いてきたものではなく、20年ほど前に復活させたものとのこと。
最近、県西の他の祭りでも19年くらい前に始めたというものを見学した。その時代に、民俗行事の復活ブームでもあったのだろうか。
(2011年01月09日訪問)