東横野台地の養蚕農家の信仰を集めた神社で、いまでも養蚕にちなんだものがいろいろと祀られている。
元の名前は「
実はこの神社、碓氷安中の飼育所巡りをしたときに、一度立ち寄りかけていた。駐車場に車を入れるところまでしたのだが、スケジュールが押していたため、そのときはスルーしてしまった。今回は、すぐ近くまできたのできちんと参詣することにした。
神社は台地の北斜面にある。赤い鳥居が目印のメインの参道は、車道に面しているため使いにくい。そのほかに、左右に別の参道があって、歩行者の便宜をはかっている。
メインの参道から石段を上がると、右側に水盤舎、その奥に社務所。
左側には神庫。
神庫の横には「しだれ桑」という種類の桑が植樹されていた。養蚕の神社ということで、新たなシンボルを作ろうとしているのだろう。
桑は小さな苗を植えてから、3年くらいで養蚕に使い始めることができるくらい成長が良い。10年もしたら立派なシンボルになるだろう。
神庫の前には神楽殿。
春の例祭で舞われる太々神楽は、市指定重要無形文化財に指定されている。神楽が舞われる一の市は毎年4月1日で、平日の開催でも露天が出るにぎやかな例祭だ。
神楽殿の裏側に、なにやら小さな入口があった。
中に奈落のような構造でもあるのだろうか。気になる。
拝殿は入母屋造の桟瓦葺き。
拝殿には、筒粥神事で占った結果が配布されていた。筒粥神事とは、旧正月の年越しの晩に、粥を炊いて農作物の1年の吉凶を占う神事だ。麻、木綿のように現在では作られていない作物も書かれている。
同様の神事は群馬県内の何ヶ所かに伝わっていて、別の神社の神事に何度も出向いているので、いつか紹介することになるかもしれない。
本殿は流造。
拝殿の横には「
ものの本によると、咲前神社には「猫石」というものがあり、ここに供えた小石を持ち帰って蚕室に置くとネズミ除けになると書かれている。願がかなったら、石を倍にして返すという。
ネズミはカイコの幼虫も繭も食べてしまう害獣で、そのネズミを食べる猫や蛇はよいものとされる。咲前神社の養蚕の護符は蛇の姿をしていて、郷原の飼育所で紹介したことがある。
拝殿の右にある末社。
内部には、養蚕の神様「絹笠明神」が祀られている。
右が絹笠神社。左は金刀比羅神社となっている。
ほかに男根様のものがいくつか安置されている。
末社の鷹巣神社。
神楽殿の裏手にある。
稲荷神社。
境内の外側にあるので、咲前神社の末社なのかどうかは微妙な位置だ。
(2011年04月02日訪問)