富岡市東部、国道254号線の鏑川にかかる橋を通るとき、北側の山並みをよく見ていると山腹にお堂が見える。星田の虚空蔵堂だ。
このお堂に気付いたのは高校時代のことだったが、訪れる機会がないまま私は大学進学のために群馬を離れてしまった。
山の上に見えるが、比較的近くまでクルマで上がることができる。
古い参道の石段はもう荒れていて、薮に覆われつつあった。ここを登るのはちょっと気が進まない。
これが虚空蔵堂の境内の全景。無住である。お堂の前は崖になっているので見晴らしがよい。
お堂は崖に埋め込まれるようになっている。
手前の岩にある穴は胎内潜りだ。岩の材質は凝灰岩。
胎内潜りには、富士山麓の溶岩樹型洞窟みたいなハードなやつと、岩に開いた狭い穴を通り抜けるだけのものがある。もちろん、より面白いのは前者だが「胎内潜りがある」という文章だけではわからなので、実見してみて「これがそう?」とがっかりすることもある。
左写真は体内潜りを抜けたところ。お堂の裏側に通じている。
そのままお堂を一周りすることができる。
洞窟状になっているわけではなく、岩陰に堂をはめ込んだために、裏に通路のような空間が作られているのだ。
お堂を一周りしたところ。
お堂の外見は2階建てのように見えるが、2階には窓もなく、おそらく登ることはできないだろうと思われる。
お堂の内部はがらんとしていた。
力石とは、祭礼のときなどに、この石を担ぎ上げて力自慢をするためのものだ。
境内の奥には「名号塔」というものがあった。
「南無阿弥陀仏」という名号が刻まれている。書体がおもしろい。浄土宗に関係するもので、以前に誕生寺の門前で見た物件と同類のものなのだろう。
関東平野西部の板碑は変成岩のものが多いが、これは凝灰岩でできている。
境内には他に、護符売り場っぽいものがあった。縁日のときなどにここが開くことがあるのだろうか。
(2008年09月20日訪問)