2011年ごろから主に群馬県で製糸業の遺構を探す旅をはじめた。群馬県で製糸業といえば、富岡製糸場と碓氷製糸農業協同組合の情報が氾濫しているが、私の目的は前述の2物件以外の製糸場を見つけることである。こうした、あまり一般のブロガーが取り上げないものを見つけるのにはある種のコツがある。それは「あると思って足で探すこと」。ネットで検索して見つからないようなものは、もう存在しないと思いがちだが、現在のネットの情報量はまだそこまでいっていない。誰もが見過ごしているものがいくらでもある。
だが、2011年は日本で製糸工場を探すのには十年遅かった。もし、2001年ごろに製糸場探しをしていたら、稼働している工場やその仕事をけっこう取材できただろう。2011年の製糸場めぐりは、まるで乾いたぞうきんを絞るような旅でもあった。訪ねた場所の多くが、店舗やマンション、駐車場に変わっており、紹介するべき有形物が残っていなかった。
藤岡蚕糸は、失われた製糸場のなかでは、ギリギリ紹介するに足る物件である。
場所はJR藤岡駅西口の真ん前である。現在、は駐車場になっているが、その西側の壁に製糸工場当時の壁が残っていた。
今後、製糸場については、記念碑、門柱、壁など、どんなささいな有形物でも残っていれば、紹介していこうと思う。
(2012年11月22日訪問)