倉敷市を離れ、岡山市へと向かう。岡山市郊外で次の水車群を見るためである。

以前、山陽の塔巡りの旅で岡山から倉敷へ移動したときはJR山陽本線の北側、いわゆる吉備路を通過したので、今回は山陽本線の南側、国道2号線に沿って移動することにする。

途中、いくつか寺にも立ち寄ることにした。最初に立ち寄ったのは、不浄(あらわず)観音寺。この寺に詣でれば、生まれた赤子に産湯をつかわなくても血の汚れがつかないというような意味らしい。

地図を見て巨大な寺であることは事前にわかっていたが、実際に行ってみると建物もきれいで庭木もよくととのえられたとても整備された寺だということがすぐにわかった。

案内によれば1,200年前から子育ての祈願寺としての歴史があるという。そうは言うが、あまりにも寺域を整備しすぎているため古刹には見えず、せいぜい明治末か大正くらいしかさかのぼれなそうな雰囲気になってしまっている。

山門の薬医門を過ぎると、大理石の石畳が続く。

途中にある水盤舎と笠松。

水盤舎の反対側には浄土庭園がある。

滝がちょっと庭園の雰囲気にそぐわない感じがする。

少し歩くと茅葺きの本坊がある。

左側には玄関。

その奥の建物は書院であろうか。その前には坪庭と中門がある。

坪庭のさらに左側には大師堂、本堂への回廊、袴腰鐘楼が並ぶ。

瑠璃光殿。

大仏でもいそうな雰囲気だが、中は普通の仏像だった。

瑠璃光殿の右には地蔵堂。

瑠璃光殿の左にはお休みどころ。

大師堂の近影。

袴腰鐘楼の近影。

袴腰鐘楼の奥にあるのは、大願成就堂。

大願成就堂は、千羽鶴を奉納する絵馬堂的な建物だった。

大師堂と鐘楼の間にある向唐門のような建物は、回廊への入口である。

本堂への石段に屋根がついているのだ。

内部の様子。

左右には奉納された絵馬がびっしりと並ぶ。

石段は短く、すぐに本堂へと到着。

本堂は意匠は江戸的、建築年代も戦前くらいではないだろうか。木造建築はどれも新しく見える。

本堂の左側には地蔵堂。

地蔵堂の奥のほうへ行くと、鎮守社の荒神社と稲荷社がある。

本堂の裏側には現代建築の紫雲殿。祈祷の受付などがある。

屋根は宝形造で頂点には鳳凰、建物の後部はボールト屋根の建物は祈祷所になっている。

蓮華亭。こども専用のお休みどころで、中にはこどものあそびばがある。至れり尽くせりだ。

紫雲殿には、子ども連れのお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんがごった返していて、祈祷所では時間表にそって立て続けに祈祷が行われているという状態だった。

岡山で子どもが産まれたら、必ず行くというような、一種流行り神的な寺なのではないか。

寺域の南側に、ひっそりと誰も歩いていない石段がある。ここがこの寺の元々の参道だと思われる。

この参道から来る場合、山門は釘貫門。

かつて里山にあった静かな寺が、子授け、子育ての祈祷寺として拡大を続けたのがこの寺なのだろう。