中国地方の旅は数年越しのテーマで、2001年GWに岡山県を、2002年夏季休暇で広島県東部を見てきた。今回2003年のGWは、前回の続きならば広島県の西部から山口県へと進むのが順当なのだが、そのまえにもう一度岡山県を見ることにした。
私の個人的な印象では、岡山県は中国四国地方では町並み、寺社、民俗、自然が最もバランスよく観光できる県だと思う。寺社だけで言えば兵庫県は私好みの寺がより濃密に分布しているし、自然でいえば四国の南半分が圧倒的にダイナミックだが、岡山県のバランスのよさにはかなわないだろう。
今回は岡山県だけで6泊7日というスケジュール。これまで私は人の多い有名観光地は敬遠することが多かったが、今回は時間もあるし普通の観光スポットにもひるまずに立ち寄るつもりだ。
旅の組み立ては小学館刊『日本列島現役水車の旅』というガイドブックに載っている揚水水車を探しながら、県央のカルスト地帯で鍾乳洞も巡る。その過程で寺社があれば立ち寄るという感じ。
だが現地に着いてからこのプランは失敗だったことに気付いたのである。私は2002年から四国の徳島に住んでいる。徳島の平野部では早いところは4月の上旬に田植えが始まる。遅くとも5月には多くの田んぼに水が入る。その季節感から5月には揚水水車がフル稼働しているだろうと想像していたのだ。
ところが瀬戸内海を渡って岡山に入ってみると風景が違う。田んぼは代かきすら始まっておらず、まったく水がない。これでは揚水水車が稼働していないどころか設置すらされていないだろう。しかしもう休暇は決めてしまったので後戻りはできない。そのまま7日間の旅に突入したのであった。