二井寺山極楽寺

かつて24房を数えた一山寺院だったという古刹。

(山口県岩国市周東町用田)

岩国、周防大島、柳井、光市と海岸線を時計回りに巡り、内陸を通って岩国に戻ろうとしている。最後の訪問地、二井寺山極楽寺は、移動ルートからすれば明日の午前中に来てもいい場所なのだが、まだわずかに時間がありそうだったのできょうのうちに訪れることにした。

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とはいえもう日暮れの時間。でも住職がいて快く迎えてくださった。住職は9月にこの寺に着任したばかりということだった。

ここは本坊で、本堂は山上にあるという。

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山上までは徒歩でしか行くことができない。

少し石段を上がったところに水場のようなところがあり、RC造の護摩堂があった。

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内部は真っ暗。

護摩の煤で黒くなったのではなく、もともと黒く塗られているようだ。

両側には水子供養の地蔵尊が奉納されている。

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奥の壁には聖観音(?)と不動明王が祀られていた。

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水場の中には宝篋印塔。

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さらに石段が続く。

この寺はいまでは衰退しているが、創建は奈良時代で24房の子院をもつ一山寺院だったという。そういう伝説をもつ寺はときどきあるが、ここは子院の名前や場所も確認できるので信憑性の高い話である。

そういえば東北のほうで平安時代建立の極楽寺で、やはり一山寺院の古刹があったな。「極楽寺」という古代の寺院は名刹が多い名前なのか。

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山上伽藍に到着。けっこうな登りで、本坊からは10分くらいの歩きとなる。

石段を登り切ったところには信徒休憩所と鐘堂がある。

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こちらが鐘堂。

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正面には本堂。

一瞬、宝塔かと見間違えるような背の高い重層堂だ。

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内部には厨子があったが扉は閉ざされていた。

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本堂を背面からみたところ。

今回の旅の訪問予定先はこのような重層の建物の比率が高い。山口県の寺社のひとつの特徴なのではないかと思っている。

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本堂の右奥にあった鎮守社。

1間社の流造りだが大きくて豪快な建物だ。江戸末期~中期くらいの建物と思う。

本瓦葺きだけど痛みがひどい。

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本堂の真後ろにあった土蔵造の堂。

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内部には蔵王権現と役行者が祀られていた。

きょうの訪問はこれで終わり。あとから移動ルートを振り返ってみると、ちょっと効率が悪かったかもしれない。

フェリー内の仮眠だけの徹夜走行からの1日観光だったのでさすがに少し疲れ気味だ。きょうはゆっくり寝て明日に備えよう。

(2003年09月03日訪問)