今年2003年はその続きとなる。兵庫、岡山、広島と、過去2年は中国地方を東進するように旅してきた。私の中国地方ブームは3年目に入るがまだ続いているのだ。いや、これはブームというより一種の義務的な作業と言ってしまってもいいのかもしれない。昨年の夏、広島を5~6日かけて巡り、最終的には岩国まで行く計画だったのが腰砕けに終わり、4日目で撤収してしまっている。それが心残りで、今年は岩国を出発点として山口県を巡ることにしたのである。
今回の対象エリアには石風呂という物件が含まれる。これは古墳の横穴式石室、あるいは、横穴墓かと見まがうような地下室で薪を燃やし、その余熱で入る高温サウナである。実は石風呂は山口県周防地方固有のものではないのだが、目的地として組み入れたのはこの旅が最初である。
私はまだ石風呂というものの全体像をつかんではいない。ただ、なんとなく周防灘の沿岸にその影が濃いような印象を持っている。特に大分、山口、広島、愛媛といった地域だ。香川、徳島にも石風呂はあるから、瀬戸内地方というべきなのかもしれないが、日本は西に行くにつれ石積みの文化が濃くなるので、それと呼応して石風呂の密度も上がるのではないか、などと思ったりもする。
とにかく、この旅で私は初めて石風呂というものに出会っていくのである。