さて、このエリアを地形図で見ると、石灰岩台地のあいだに深い谷があり、その底面に平坦になっている沖積平野がみられる(矢印箇所)。この地形を「ポリエ」という。
石灰岩台地にはドリーネやウバーレという陥没地形があることはこれまでに紹介した。ウバーレがさらに侵食が進みその底面部に堆積物がたまって平野を形成したものがポリエだ。
その一角に、長大な橋のようなものがあった。住友秋吉鉱山ベルトコンベアだ。
西秋吉台にある石灰岩採掘鉱山から、日本海のセメント工場と専用積み出し埠頭まで約17km、うち、トンネル区間は約13kmある。
質実剛健でプリミティブな機能美を体現した姿にきっと愛好家も多いのではないかと思う。
ベルトコンベアによる輸送は、一日あたりの運搬量が多い場合にコストパフォーマンスがよくなるとされる。
小さな丘陵を超えるために傾斜している箇所もある。左写真は下り勾配のある部分。
その反対側の上り勾配部分。
石灰石はセメントになるほか、製鉄業や農業にも使用される。石灰鉱山は国土づくりの根幹であり、その運搬には鉄道や道路まで含めた大規模なインフラ工事を伴う。
かつてベルトコンベアがあった鉱山でも、トラック輸送に切り替わって撤去されてしまったところも多い。秋吉台は現役でコンベアが稼働している貴重な場所だ。
(2003年09月05日訪問)