続いて、出雲大社へと向かったのだが、その前に参道にある旧国鉄大社駅が国重文に指定されたというので、立ち寄ってみることにした。路線は平成2年(1990年)に廃止されていて、駅舎だけが文化財として保存されている。
この駅は現在のJR山陰本線出雲市駅から分かれた支線の終着駅だった。路線は明治45年に開業、現在の駅舎は大正13年に建てられたものだ。
駅は出雲大社の参道のかなり遠いところにあり、駅から大社までは1.5kmほどは離れている。大正・戦前なら遠距離を歩くのもいとわない人が多かっただろうが、モータリゼーション時代には駅から大社まではバスかタクシーを利用するのが一般的だったろう。
そうなると大社線の利便性は低く、廃線もしかたがなかったろうと思われる。
しかし駅舎は非常に立派なものだ。
拝観は無料。
外観は2階建て、内部は1階で天井は折り上げ格天井だ。
特に目を引くのはキップ売り場。窓口が神社の形をモチーフにつくられている。
改札も当時のまま残されている。構造はコンクリートの人研ぎ仕上げ。
ホームに入ってみると、いまにも列車が入ってきそうな雰囲気。廃駅という感じはあまりない。
反対側のホームに展示車両が置かれていた。もう列車は来ないのでレールを歩いて見に行けばいいのだが、ちょっと距離が遠い。
ホーム側にある精算窓口にも神社風の凝った意匠がある。
通票閉塞器という機械が置かれていた。
これは、駅と駅の間の線路に複数の列車が入らないように、発進許可のキーが、2つの駅の機械で排他的にしか取り出せないようにする機械だ。ヒューマンエラーが起きないようにとてもよく考えられているもの。
私が大学時代に住んでいた川越市のJR線にあって、当時現役で使われていたのを興味深く見たのを思い出す。
これは何だろ?
(2005年09月02日訪問)