卯建のある3階養蚕農家の道を挟んで向かいに、奇妙な土蔵がある。
1坪くらいの建坪で、屋根のヒサシが長く突き出していて、上下に桟戸のような観音開きの扉がある。
下部には土室の特徴である、吸気口がある。
吸気口は背面にもある。
吸気口は土管で連結されていて、小さな穴があってそこから空気を吸い込む造りになっている。ネズミの進入を防ぐためだろう。
さて、この土室が何なのかだが・・・・・・。
これ、はたして稚蚕飼育に関係する設備なんだろうか?
これと非常によく似た印象のものをかつて下仁田町の農家で見たことがあり、そのときも何の設備なのかはっきりしなかった。その農家では製糸工場も営んでいたので、もしかしたら乾繭機なのではという印象を持ったのだった。
ここでも下仁田で見たのと同じ、目の細かい籠が挿してある。この土室は道の反対側にあるという奇妙な立地で、稚蚕飼育施設と考えるにはかなりの違和感がぬぐえない。
これは土室蒸しという乾繭施設だったのではないか。オーナーの玄関に碓氷社の会員票があったことから、生糸の生産をしていた家だったから、乾繭施設を持っていたとしても不自然ではない。
あまり先走ってもいけないが、この施設は群馬県の他の場所ではほとんど見かけないものであり、蚕糸絹業史の資料として価値が高いものだと思う。
野外博物館などに移築すべきではないか。
取り壊されることがないことを祈りたい。
(2012年09月16日訪問)
