館の潅仏会・薬師堂

月遅れで営まれる集落の潅仏会。

(埼玉県小川町腰越)

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笠山神社から下山してきたとき、村の小さなお堂が開いていて、花まつりの花御堂(はなみどう)が見えた。

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花御堂がなければこれがお堂だとは気付かないような質素な建物。

釈迦の誕生日、つまり花まつりは旧暦の4月8日だが、現代では太陽暦の4月8日に実施しているお寺が多い。その一方で、旧暦に近い月おくれで実施している場所もあり、ゴールデンウイーク中にお寺で花まつりに出くわすことも多い。

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ここでは毎年5月3日に行っているそうだ。

笠山神社の春の例祭と重なっているので覚えやすいが、もしかして両方の行事にかかわっている村人もいるんじゃないだろうか。だとすれば忙しい一日となる。

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お堂には薬師如来が祀られている。

なんとなく、頭部と身体のバランスが合っていない。左側には焼け焦げた木が置かれているから火事で焼けて頭部だけが残ったのを別の身体に接いだ仏像なのかもしれない。

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花御堂には美しい花が飾られている。

花卉栽培をしていたり、生花店に勤めている村人でもいるのだろうか。ここまで美麗な飾り付けはちょっと見たことがない。

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誕生仏にお茶をかける。

このあと紙コップでお茶をいただいたが、これ、実は甘茶じゃなく「午後の紅茶」のペットボトルからそそいたものだという。時代が変わったなぁ。

甘茶の茶葉はネット通販で買えるし、急ぎならば漢方薬を置いている薬屋へ行けば手に入ると思う。

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お堂の入口には馬頭観音などの石仏があった。

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左から、如意輪観音、馬頭観音、地蔵菩薩、青面金剛。

(2023年05月03日訪問)

霊魂の民俗学 ――日本人の霊的世界 (ちくま学芸文庫 ミ-2-7)

文庫 – 2023/7/10
宮田 登 (著)
出産・七五三・葬送など、いまも残る日本人の生活儀礼には、いかなる独特な「霊魂観」が息づいているのか。民俗学の泰斗が平明に語る。

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