八雲神社

本殿の壁3面に八岐大蛇の彫刻がある。

(埼玉県さいたま市岩槻区本町)

岩槻郷土資料館から県道をはさんで反対側、少し南に行ったところに、「人形の東久 人形歴史館」という裃雛(かみしもびな)専門の資料館があったのだが、閉館になってしまっているという。

一応その場所に行ってみたがすでに建物すら残っていなかった。

この資料館は福田東久さんという人形屋さんのコレクションを展示したもので、裃雛だけで1,500体を有していたという。すさまじい数だ。

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街角の観光案内板にはまだ紹介が残っている。

見たかったなぁ。そして館長さんにお会いできれば、裃雛の衣装のことが何かわかったかもしれないのだが、すでに亡くなられていた。

10年前、裃雛を知ったときに、すぐここに来ていれば良かったのだが、あとの祭りとしか言いようがない。

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しかたなく駐車していた郷土資料館までとぼとぼと歩いて戻ってきたら、神社で特別なご開帳をしているという案内があったのでお参りしていくことにした。

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この八雲神社は古くは街道の道の真ん中に建っていたという。

現在残る社殿が造られたのは明治17年(1884)、その3年後には道路上から現在の位置に移築された。

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こちらが現在の神社。

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狛犬は岩の上に潜んでいるタイプ。

右側は顔が剥落している。

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左側は何かに飛びかかろうとしているいようなポーズ。

かわいらしい。

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これ実は覆屋で、中に本殿が入っている。裳階(もこし)つき流造りとでも言えそうな造りなのだ。本殿の彫刻を保護するためである。

この神社が街道上にあったころには裳階がなかったんじゃないかと思う。こんな大きな覆屋が道の真ん中にあったらさすがに交通が不便だからだ。

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社殿の前には力石が置かれていた。

「文政十年六月吉日 奉納 四拾五貫 斉藤治郎助」という銘がある。

168.75 kgの重さということになる。米俵の3個近い重さだから、かなりの力自慢でないと持てない。でも、見た感じでは160kgもあるようには見えないけれど。

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きょうはイベント日なので、特別に覆屋の中に入れる。

内部は本殿を中心に外周を歩けるようになっている。

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右壁の彫刻は八岐大蛇(やまたのおろち)

見たところ、頭は1つで普通の龍のように描写されている。大蛇を酔わせるための酒樽は少なくとも6個は見える。

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背面は素戔嗚尊(すさのおのみこと)。八岐大蛇を退治し、生け贄にされていた奇稲田姫(くしなだひめ)を助け出し妻に娶った神様である。

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左側の壁は奇稲田姫が彫られている。

物語がつながっていて、しかも誰もが知っているような題材なのがいいね。

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本殿の後ろにもなにやらお堂が連結している。

この場所は町内の公民館にもなっているので、祭具の倉庫じゃないかと思う。

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公民館の中にも彫刻の展示があった。

四獣(しじゅう)の彫刻だ。ちゃんと4体揃っている。

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一応、まちかど雛めぐりというイベントなので雛人形も飾られているが、どう見ても四獣が主役だ。

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境内は公園にもなっていて、新たな遊具を設置中だった。

奥の方に神輿庫と末社アパートがある。

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こちらは神輿。

これも普段は閉じている地蔵格子が全開にしてある。

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末社アパートは、左が「猿田彦大神」、右はたぶん「鹿島大神」。

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「鹿島大神」でいいんだよね?

(2023年02月26日訪問)

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