今治市といえばタオルの産地。5年ほど前には、タオル美術館という博物館施設も見学している。
今治タオルは全国レベルのブランド化に成功した希有な産地で、産業会館施設のテクスポート今治にショップがあるので行ってみた。
とは言っても、営業時間は18時までだったので、またもギリギリの滑り込み。博物館が併設されていたので入ってみたが、駆け足だったからじっくり見学できなかった。
館内には企業から寄贈された機械が展示されているが、これが今治タオルの特徴が出ている機械なのか、一般的な古い産業機なのかがわかりにくい。
こちらはドラム整経機。特にタオル特有の設備ではないと思う。
糸の染色機。
すっごく小型なので、試験や試作品製作用の機械だろう。
一般的な高機。
特に地域性を感じる部分はないが、タオルを織るための織機との対比のために置かれていたのか。
こちらは豊田式織機。
これもタオル用の機械ではないと思う。
紋紙のせん孔機はさっきの工場でも似たようなものを見たが、これはジャガード機という、布に絵のような組織を織れる機械のためのせん孔機だと思う。
すごく大柄なので、タオルのデザインか。
これは設計図みたいなもので、パンチカードに開ける穴の並びは絵のようになっているわけではない。
これはタオルを織るための初期の
注目するポイントは、機の後部にありタテ糸を巻いてある男巻きというロール部品が上下に2つあること。写真では上部の男巻きには黄色の縞模様のタテ糸が、下部の男巻きには白っぽいタテ糸が巻かれている。
この2つの男巻きのある機が、タオルを織るには必要な構造なのだと思われる。
これは、本物の古いヒゴ織機。
やはり男巻きが上下2つある。
なぜタテ糸が2種類必要になるかというと、タオルの骨格となる地のタテ糸と、タオルのパイル(=糸が飛び出している部分)になるタテ糸があるだからだ。パイルになるタテ糸はたるませるぶん長さが余計に必要になる。
そして、ヒゴ織機の「ヒゴ」とは、この写真のようにタテ糸の部分に織り込んだ竹ひごのことなのだ。筬で打ち込み、入れた順番に抜いていくとタテ糸が緩んでパイルになるという仕組み。こうした織り方が、初期のタオル製織では行なわれていた。たぶんだけど、パイルは絨毯みたいに片面にしか作れない。
こちらはタンデムの機。生産性を高めるために2人の織り手が並んで座るタイプ。
何度か見かけたけれど、本当に効率いいのかな?
男巻きが上下に2つあることがわかりやすい。
足踏み式織機というタイトルで展示されていた織機。
いわゆる戦前の半木織機で、力織機に至る過程の機械だという。動力がなく足踏みで稼働したような説明が書かれている。
片2丁織機という説明の機。動力で稼働する力織機だ。
2丁とは、シャトルが2種類セットでき、ヨコ縞が作れるという意味だと思う。
でも展示の意味としては、タオルのパイルをヒゴを使わずに自動で織れるようになった機械という意味合いなのではないか。
現在普通に使われているタオル用織機では、ヒゴの抜き差しはなく、タテ糸のテンションを調節して打ち込むことで自動的にパイルが生み出される。
ちょっとね、、、そのへんの説明がなくてわかりにくい展示だったと思う。
これできょうの観光はおしまい。まる一日あったけれどあまり色々なところへは行けなかった。
このあと伊豫水軍で釜飯を食べ、清正の湯に入浴という今治の夜の定番コースへ。
徳島の家に帰り着いたのは24時近くになっていた。
(2012年03月27日訪問)