藤坂家のある大久保集落から県道方向へ降りる細道の途中にある黒長家。字でいうと切久保になる。大久保が台地状の比較的緩やかな場所なのに対し、この黒長家は崖の途中というような場所で、ほぼ平坦な場所がない。
車道の上側に主屋とハウス型の乾燥室、車道の下側にメインの圃場がある。
母屋側は段畑になっていて、3~4
主屋の横にも7
黒長家では畝にマルチを使っていない。
タバコにマルチをするには
比較的平坦な圃場なら管理機を使って高畝を作れる
だが傾斜地で高齢者が管理機を使うのは危険だし、そもそも細長い畑では端で機械を転回できないから、高畝が作りにくいのだろう。
車道の下側のメインのタバコ畑。
こちらもほぼ平畝。
段ボールを円板状に切って、葉を地面に直接置かないようにしていた。
平坦な土地は主屋の前にわずかにあるだけ。
すべての平地が干し場になっているから、家の玄関に行くにも干し場の中を歩かなければ行けない。
収穫して間もない葉には編み垂れがかけてあった。
お孫さんが猫を好きなので、猫を飼っているという。
おばあちゃんの家にいく楽しみなのだろう。
主屋前の崖の途中にハウス式の乾燥室がある。
乾燥室の内部。
2009年7月12日。
連干しの編み込みを見せてもらった。
連縄という2本を撚った縄の隙間に、タバコの葉を1枚1枚編み込んでいく。
縄の長さは3.6m、100枚強の葉を編み込める。
阿波葉は1株につき18~20枚の葉を収穫するので、4000本の苗を植えたとすれば、合計8万枚の葉を編み込まなくてはならない。
以前は若夫婦など労働力の中心となる人が葉の収穫と畑の管理をし、老人や子どもが葉の編み込みの作業をしていた。いま子どもたちは家を出て働くようになったので、老夫婦だけで畑をして編み込みもしている。
親指と人さし指で縄を拡げ、そこに葉の中骨を差し込む。
縄は撚りを戻すようにテンションがかかるので自然に締めつけられる。
青い葉の表面にはしっとりとした液が分泌されていて、触るとその液で手が汚れるので収穫時には軍手などの手袋をするが、編み込みのときは私の知る限りではみな素手で作業していた。
きょう編み込んだばかりの連干し。
黒長家の干し場は単管を桁にしていて、金物はS字ではなく自作のOリングだった。
崖下の乾燥室にはも葉がいっぱいになっている。
内部は5段吊りかな。
一番下は地面スレスレになっている。
(2008年07月06日訪問)