八多町を八多川の上流から下流に向かって見ていく。
この地域で最も知られている場所が五王神社の農村部帯、通称「犬飼農村舞台」である。
ただこの舞台が開かれるのは毎年11月3日の例祭の日なので、きょうは人っ子一人いない寂しい村の鎮守といった状態である。
この舞台で上演されるのは、徳島名物の人形浄瑠璃。でもどちらかというと、ここはその舞台装置「
舞台の書き割りが襖のように細かく分れて吊られていて、それを上げ下げしたり回転させたりして瞬間的に場面転換するというものだ。襖は前後に重なるように吊られていて、全てで42種類の場面を作り出せるようになっている。
人形浄瑠璃が演じられるのはこの舞台。
上手には物語の詠じるためのピットとも言える「太夫座」が付属している。
舞台の前の桟敷は平坦で、升席のような構造はない。
ただし奥側に2段の観覧席のような構造がある。
私の大好きな露天桟敷の一種と言っていいだろう。
通常は中が見られないので、レポートとしてはなんとも冴えないことになってしまった。
桟敷の後ろには倉庫がある。
人形や襖はここにしまわれているのかな。
神社の社殿を見ていこう。
拝殿は切妻で横長。
拝殿の背後には独立した幣殿があり、山の斜面に本殿が置かれている。
かつて境内に大きな松があり、大正元年に風雨で枝が折れたのをきっかけに伐採して社殿の復興に当てたというようなことが書かれている。
幣殿の右側には末社が5柱あった。
左から、ホーソ之神(疱瘡神?)、金毘羅宮、若宮、山之神、農神である。
(2006年12月16日訪問)