日開谷川東俣

オオムラサキを見にいった。

(徳島県阿波市市場町日開谷)

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特にすることもないヒマな夏休み。市場町の日開谷(ひがいだに)のほうへ来ている。

以前にネットのサークルで蝶のオオムラサキをあまり見ないというようなことを書いたら、市場町のメンバーから日開谷にいくと簡単に見られるというレスをもらったからだ。

ピンポイントな場所を教えてもらったわけではなく、あまりアテにもならなかったのだが、とりあえず奥日開谷という地域に的をしぼった。

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県道246号線を分け入って、最後の人家がある場所の近くに車をとめ、そこからは沢づたいに歩くことにした。

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道は簡易舗装で車は通行できる。でも今回は昆虫を見ようということだから、徒歩で行くことにしたのだ。

このページ右上の地図は駐車した場所にマーカーを立てておこう。

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駐車した場所の近くにあった農具小屋。

➡ 場所

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木馬(きんま)がある! 材木を山から搬出するための木製の橇である。

ということはこの県道246号線はかつてキンマ道だったってこと?

吉野川以北の阿讃山脈って林業のイメージはあまりないのだが、こんな場所でも木馬が使われていたというのは意外だった。

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道は川に沿っている。

川の名前は地図を見てもわからなかった。

日開谷川の大きめの支流で、東側に分岐している支流なので、徳島の命名規則からすると「日開谷川東俣(ひがいだにがわひがしまた)」でいいのかな。

川には小さな魚が見える。

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川の中で何か捕っている人がいた。

普通の釣人が欲するような獲物がいるとは思えないが、このあたりでは川の小魚をうどんのつゆの出汁に使うというのを聞いたことがある。

たらいうどんのお店の人か?

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少し川に近いところで見てみると、見える魚はカワムツがほとんどだった。

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胸びれのあたりがオレンジ色っぽい。

赤松川で見たカワムツとはだいぶ雰囲気が違う。

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背びれにも朱色がある。

婚姻色なのだろうか。

右上のあたりにシマドジョウもいるね。

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少し上流にいったところ。

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川の石にカワニナが登っている。

遠くてわからないが以前に柿原堰で見たのはチリメンカワニナだったので、同じ水系なのでこれもそうかもしれない。柿原堰でも貝殻が水から出る場所にいたけれど、カワニナって水から出る生態があるのだろうか。

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道路でアオスジアゲハが集団吸水していた。

このあたりでは車に魅かれたクロアゲハやナガサキアゲハがところどこに落ちていて、吸水中に轢かれるようだ。

実はこの水は養豚場から流れ出ていてかなり汚いのだが、蝶にとっては滋養なのだろう。蝶は動物の糞を吸ったり、人間の汗を吸うこともある。

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道にはハンミョウがいる。日本の甲虫の中ではトップクラスの美しさだ。

「ミチオシエ」ともいい、人間が歩く先を先導するように飛び歩く。決して遠くには飛んでいかないのが不思議だ。

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さらに奥へ。

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道ばたにウロのあるクヌギがあった。

樹液に昆虫が集まっている。

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あ、オオムラサキがいる!

場所がわからず適当に来てみたけれど、情報通り見ることができた。この地域はオオムラサキが多いのかな。

私が住んでいる眉山の周辺にも里山はたくさんあり、時おり散策するのだけど、見たことがないのだよね。

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オオムラサキは日本の国蝶で、その美しさだけでなく、たくましさも並外れている。この胴体の太ましさ!

でもちょっと羽が擦れている。

オオムラサキは喧嘩っ早い蝶なので、戦いで傷つくのだろう。いまはお盆近いから、きれいな状態の蝶を見ようと思ったらもう少し早い時期がいいのかもしれない。

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私は群馬県の前橋市で生まれ育ったが、子ども時代に市内でオオムラサキを見たことは一度もなかった。前橋では樹液に集まる蝶はゴマダラチョウが多かった。ゴマダラチョウとオオムラサキは幼虫も成虫も食性が同じなので、オオムラサキがいてもおかしくないのだが。

子どもだったので見方が悪かったのか。

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こちらはルリタテハ。

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こちらはスミナガシ。

この場所ではゴマダラチョウは見かけなかった。

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甲虫類はカナブンだけだった。

カブトムシやクワガタムシなどは時間帯がちがうのかな。

(2007年08月09日訪問)

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