一宿寺

太龍寺の古い登山口にある番外札所。

(徳島県阿南市加茂町宿居谷)

2月の肌寒い日曜日、思い立って那賀川の上流部、旧上那賀町方面へ出かけてみることにした。那賀川の上流というと、県南方面へ遊びに行くときに何度も国道193号線を通っているが、それ以外の谷に分け入ったことがない。そこできょうは旧上那賀町の谷や尾根の道をひとつひとつ細かく分け入ってみようと思うのだ。もちろん何かお目当ての目的地があるわけではないから、何も面白いものはないかも知れないが。とにかく行ったことのない場所へ行ってみるつもりだ。

まずは市内の自宅から鮎喰川、勝浦川の先行谷を通り抜けて、那賀川の先行谷入口へ到着。そこに一宿寺(いっしゅくじ)というまだ行ったことがない寺があるのでお参りしていくことにした。

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この寺がある加茂谷川の上流には四国霊場21番札所の太龍寺がある。太龍寺は標高600mの山寺でいくつか登山ルートがあるのだが、古い遍路道はこの一宿寺の裏山から尾根伝いに標高を上げてゆくルートだったという。

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この尾根伝いのルートにかつてあった丁石(ちょういし)が一宿寺の境内に集めてあった。丁石とは山頂までの何合目であるかを教える道標だ。北朝の年号が書かれているという。

現在この加茂谷ルートを登る歩き遍路はたぶんいない。20番札所の鶴林寺からの下山路がかつては十八女(さかり)橋あたりで渡河していたのが、より近道の水井(すいい)橋方面に付け替わって若杉谷川の谷を登るようになったからだ。

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寺は山腹に石垣を築いて建てられている。

「一宿寺」の名前は空海がこのあたりで宿泊したからともいわれ、四国霊場の番外札所になっている。四国霊場には88ヶ寺の札所と別格霊場の20ヶ寺があり合計108ヶ所の公式な札所があるが、それ以外にゆかりのある寺として番外札所というものがあるのだ。

また阿南七薬師霊場の1番札所でもある。

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山門はなく、寺の入口には不動堂がある。

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本堂は屋根が崩れていてブルーシートで補修してある。向拝や外回りは修理されているが、全体的に時代感を感じる建築だ。根拠はないのだけどね。江戸中期くらい行くんじゃないかって印象を受ける。

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伽藍のレイアウトも変わっていて、本堂の後ろに庫裏が並ぶ。

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本堂の軒下に薬医門のようなものがある。現在はガレージとして使われているが、かつては山門か通用門だったのを移築したのだろう。

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本堂の右側に鐘堂がある。

(ぬき)が上下に2ヶ所ある構造だ。下部にも貫がある鐘堂は古い形式だといわれているので、これも古い建築かもしれない。

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下側に貫があると堂内に立ち入るとき邪魔になるからだろうか。基礎がかさ上げされていて、基礎の中を通って鐘堂の中に入れる造りになっている。

基礎は後補だと思うが、こんな造りの鐘堂はあまり記憶にない。

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山ぎわにある水子地蔵。

足下が水場になっている。知れない。

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本堂の左側にある無縁塚。

その横にはプレハブの休憩所がある。これ、歩き遍路のための善根宿(ぜんこんやど)じゃないのかな。

(2008年02月24日訪問)

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