ところで西国霊場の寺々はどういうわけか駐車料金が高いところが多くていい印象がない。四国、坂東、秩父など他の霊場では無料の所がほとんどなのに、西国霊場はどこものきなみ五百円くらいとられる。私はお寺参りが好きなので、基本的にお寺のことを悪く書きたくはないのだが、西国札所の駐車料金だけはどうしても許容できない。これって伝統なのだろうか。
駐車場は公営なのに有料で、しかも寺からかなり離れている。寺までの道の両側には土産物屋が並んでいるが、駐車料金でむっとしているので、冷やかすだけで買い物はしなかった。(谷汲村の土産はちゃんと、ここではなくて街道筋のJA直売所でハチミツとイナゴの佃煮を買った。)
参道の土産物屋は地場の山菜や農産物などが中心だが、途中には仏像を売っている真っ赤な店もあった。ちょっと怪しい。
やっと、山門にたどり着く。
山門は三間一戸の二重門だ。屋根は銅版葺き。なんだか、こういう光景っていかにも江戸時代に栄えた観光名所っていう感じがする。
伽藍配置図である。おおむね全ての堂が実在しているよう(未確認)だがスケール感はむちゃくちゃ。あんまりむちゃくちゃなので、真面目に案内図を見なかったのだが、帰ってきてから本堂の裏の方に笈摺堂(おいずるどう?)という見ものがあったことを知った。
だいたい私は寺の伽藍はすみずみまで見て回るほうなのだが、探検していると怒られそうなオーラを感じたので、てきとーに参詣して帰ってきた。まぁ、ここは有名な寺なので私が隅々までチェックする必要はないだろう。
さて、いよいよ本堂が見えてきた。
石段を参拝者が引きも切らず上り下りしている。
本堂には戒壇巡りがある。拝観料は百円。
内部はそれほど長くはないが、通路は曲線だけで構成されていて、完全に方向感覚がなくなって出口に戻ってくる。やはり戒壇巡りは通路が曲線のものが極上といえよう。しかもここでは床面も30センチくらいの無意味な上下があって感覚をまひさせるのを手伝っている。確信犯的な設計だ。
何回も廻りたかったが、怒られそうなのでやめておいた。
本堂の前には
この旅行記では初めて紹介する堂なので、簡単に説明しておくとともに、いずれ索引ページに解説を加えたいと思う。
輪蔵とは教典を納めた書庫の一種だ。内部の書架が人力で回転するところが珍しい。回転させることにより、教典がとりだしやすくなるとか、回転させることにより通気をよくするというような説もあるが、原形はおそらくチベット仏教に見られるマニ車であり、教典を回転させることにより功徳を得るというのが根源にあるのではなかろうか。
これが経蔵の内部の様子。六角形の書架に教典が納められている様子がよくわかる。
これを時計回りに3回まわすと御利益があるといって、参拝客が喜んで回すところもある。ここでは戸も開いていて、回せそうだったがなぜか私は回さなかった。う~ん、我ながらどうしたことだろう‥‥。
(2000年03月20日訪問)