備前市に移動する。備前市は小さな湾に面した海沿いの街だ。と言っても湾は奥深い入り江のどん詰まりであり瀬戸内の海に面しているという実感はない。真光寺はその町中にある名刹である。国道2号線に面しているが、地図を見ると国道がバイパスになっていて寺に入れないように見えたのでわざわざ町中から接近してみた。
繁華街のデパートの裏の狭い小路を入り、住宅街を進むと楼門が見えきた。
楼門のすぐ後ろには消防団があり、小さいながらも背の高い火の見櫓があった。
屋根はないが軽快なイメージの火の見櫓で、港町の坂道に建つ姿は楼門と相互に作用して美しい縦の構図を作り出していた。
参道はそのままJR赤穂線の跨線橋になっている。
そして跨線橋を渡ると国道2号線に出る。
想像に反して国道から寺に直接に入ることができた。わざわざ遠回りして町中の狭い道を通り、楼門前のわずかなスペースに駐車する必要はなかったのだ。ちょっと悔しいが、でも寺の参道の雰囲気を堪能できたのでよしとしよう。
雨が強くなってきた。三重塔の相輪が雨に煙って見える。
三重塔は純和様で、屋根の反りが美しい塔である。桃山時代にさらに海寄りにある牛窓町の蓮華頂寺(今は廃寺)という寺から移築されたものなのだという。(牛窓は直線で20km以上離れた瀬戸内海に面した町で、あす観光する予定なのである。)
本堂。
やはり純和様の建物であり、正面5間が桟唐戸、側面は桟唐戸と蔀戸、向拝の下には木口階段、屋根は瓦葺きで反りが美しい。
「並みの建物ではない」と思って見れば、やはり国重文に指定されていた。
本堂を斜めから見た様子。
奥には自性院という寺が見える。(この寺は真光寺の本坊かと思っていたが、あとでよく地図を見ると名前が別についていた。さらに自性院の右側には花蔵院という寺もあり、真光寺とあわせて3つの寺があることになる。)
境内には、他に大師堂(写真)、地蔵堂、袴腰鐘楼。
雨が強くなり足元もぬかるんできた。雨天のため撮影のコンディションもよくない。今日はここであきらめるか、あと一カ所だけ見るかべきか‥‥。少し悩んだがあと一カ所だけ行ってみることにする。
(2001年04月29日訪問)