西瀬戸自動車道(通称しまなみ海道)を通って、瀬戸内に浮かぶ
開基は戦前に鋼管業で財をなした金本耕三という人物で、昭和11年から30年にかけて母の菩提を弔うために寺を造営した。境内は日本各地の有名寺院の堂宇を模倣した極彩色の建物で構成されていて、別名「西の日光」。
GW中とあって寺は大変なにぎわいをみせていた。寺から瀬戸田港までの500mくらいの西参道は土産物屋が軒を連ねている。今は高速道の利用が主流になり、駐車場は東側にあるため旧土産物屋街は急速に衰退している。
写真は東側の参道。
入口は法隆寺の山門を模した四間二戸の二重門だ。通常、山門の間数は奇数であり、偶数の門というのはめったにない。
詳しい人がみれば法隆寺のコピーかなと気づくが、極彩色に塗られているために普通の観光客にとってはただのケバケバしい門でしかない。
山門の両側は回廊になっていて、内部は羅漢堂になっている。
このような景色までを立体に彫り込んだ彫刻の手法をなんというのだろう‥‥。
たまに寺で見かけるが、なかなな面白い物件だと思う。
回廊の内部には二つの大きなドームがあって鳥が飼われている。
ここまでは言わば入場無料のお試しコーナーである。回廊の中にさら門があり、その先は有料となっている。
入場料は1,000円。本家の日光のように中でさらにお金を取られることはないし、地下霊場もあるのでしかたないのかもしれないが、気持ち高目の設定に思える。
有料エリアに入るとすぐ、左に鐘楼、右に鼓楼がある。
奈良新薬師寺の鐘楼のコピーだそうだ。
そして石段を登ると五重の塔がある。
室生寺の五重塔のコピーだそうだ。そう言われなければ気づかない。この寺の堂宇全てに言えることだが、オリジナルの立地条件と無関係に建てられているため、その建物本来の良さが薄れているのだ。最高級の料理が汚い食器に盛られているようなもの。
その左右には宝物殿。内部には美術品が展示されている。
四天王寺の金堂のコピーだそうだ。よりによって四天王寺の伽藍を左右にシンメトリーに配置するとは‥‥。四天王寺の伽藍は中心の軸に一直線に配置されるのがその最たる特徴なのに。
孝養門。陽明門のコピーだそうだ。
これが一番分かりやすいが、近くで見ると細工も粗い感じだし、メンテナンスも悪くて日光の陽明門から見るとかなり落ちる気がする。
左右の阿弥陀堂(写真左奥)は日野法界寺の阿弥陀堂のコピーらしい
孝養門を過ぎるといよいよ本堂がある
本堂の右の丘の上には多宝塔が見える。石山寺多宝塔をコピーしたものらしい。
本堂は宇治平等院のコピー。翼廊がかなり派手に作られているため、ちょっとイメージが違う。
極彩色だから違和感がある、と言っているのではない。鳳凰堂はあくまでも浄土庭園の一部だと思うのだが、ここには浄土庭園がなく堂だけが建っているから変なのだ。
ハワイ・オアフ島の平等院のほうがずっといい。
(2001年05月03日訪問)