山陽道にもどり引き続き東進して
町の北部の緩やかな山すそに大通寺はあった。周囲を二重の白壁に囲まれたまとまりのある伽藍が遠くから見えてくる。地方の小さな名刹に出会う至福の一瞬だ。
総門の八脚門。正面が壁になっていて、通路の内側に向かって金剛垣がついている珍しい形の仁王門だ。二体の仁王像は対面して立っている。
総門を入った先には三間三戸の楼門。しかも楼門の左側には回廊があるではないか。
回廊のある禅寺は、私がもっとも好きな伽藍配置のひとつなのだ。寄り道をしてほんとうに良かった。
回廊は門に向かって左側だけにつけられていた。楼門の右側にかつて回廊があったかどうかはわからない。
楼門の右側には単層の鐘堂があるだけで、現在の庫裏の構造は回廊が周回できる感じではなかった。
楼門から左にのびた回廊は、経蔵の前を通って座禅堂の軒先へとつながっている。地方の回廊寺院の定番とも言える構造だ。
軒先には大きな木魚がぶら下がっていた。修行僧に時刻などを知らせるために打ち鳴らす道具だ。読経のときに叩く丸い木魚はこれが小さくなったものだといわれている。
本堂と庫裏。
庫裏で受付すれば、庭園を見学できるのだが、時間がだいぶ押してきているため庭園拝観はしなかった。
(2001年05月04日訪問)