マイカンユゥ洞窟寺

山を登った上に鍾乳洞の入口がある。

(ミャンマーカレン州パアン)

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パアン・ラインブエ街道を10kmほど北上するとティーポゥクロゥ村へと至る。そこに大きなゲートのあるT字路があり、ここを入るとミャインジーグー街道である。

街道はサルウィン川東岸の河港町をつなぎ、ミャインジーグーで東へ転進し、タイ国境まで通じている。

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そのミャインジーグー街道へと入って、北西へ向かう。

ラインブエ街道に比べると道幅は狭く、路面の舗装状態も悪い。初めて走る道、初めて見る景色に、「えらく遠くまで来てしまったな」と急に心細くなってくる。

その後も何度かパアンに滞在し、この道も通り慣れてしまったいまでは退屈な近所の風景にすら思えるのだが、初めて訪れるときは冒険でもしているように感じ、すべてが違って見える。そういう特別な体験ができるのは、最初の1回だけなのである。

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しばらく走ると道の左手に山脈が続くようになる。

ラッカミ山である。

その山腹にパゴタが見えるではないか。

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「イヤなものを見ちゃったな・・・」

この日はミャインジーグー街道の景色を楽しむだけのつもりだったのに、これを見てしまった以上、登らないわけにはいかない・・・。

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街道沿いに山門があったので入ることにした。

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どうやらここが登山口のようだ。

この日は昼前に出かけ昼食はまだだったので、お弁当代わりに持ってきたバナナで腹ごしらえ。近所の子どもが寄ってきたので、子どもにもバナナを分けて一緒に食べる。

階段の様子からすれば、ここで履物を脱ぐのが正統かもしれないが、途中に岩場があるかもしれないので、サンダルを履いたまま登ることにする。

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手作り感あふれるコンクリの石段が急峻な崖に張り付くように続く。

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かなり無茶な作りをしている箇所もある。もっとも、こういうところがミャンマーの寺の楽しいところなのだ。

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約15分で山脈の鞍部に到着した。

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鞍部にはわずかな平地があり、小さな僧房が建っていた。

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そこからパゴダへはまた石段が続く。

山頂からは若い子の集団が降りてきた。学校の遠足か何かか?

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ここは先ほどまでと違って、緩やかな石段なので登りやすい。

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途中にはお坊さんの住居があった。

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5分ほどでパゴダまで到着。

ここで履物を脱ぐことにした。

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パゴダの登り口には、緑色の鬼のような像。

この像、バーインニィ洞窟ウージナパゴダで見かけたときは、ハヌマーンかと思ったが、どうも違うような気がしてきた。

その様相からして、元々は邪神だったのが、仏陀に帰依して守護神に変わったというような感じの神ではないかと想像するが、そのうち、ミャンマー人に聞いてみよう。

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パゴダは白塗りで、柵つき。

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パゴダの横にはトゥヤッタティ堂。

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パゴダの裏側のほうへ回り込んでみると、なんと、鍾乳洞が開口しているではないか。

崖の途中に張り付くようにパゴダがあるだけでも見ごたえがあるのに、さらに鍾乳洞付き。カレン州の寺って、ほんと面白すぎる。ここまで登ってみてよかった!

さっそく入ってみる。

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内部はかなり広く、奥行きは50mほど。

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最深部には鉄格子があって普段はカギがかかっているようだが、参拝者が多かったのでお坊さんが来てカギを開けてくれた。

鉄格子の先は5mほどで行き止まりになって、仏像が並んでいるだけだった。

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途中に支洞があったので入ってみる。

ここは電灯がないので、懐中電灯で進む。

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支洞の奥行きは25mほどか。

そこからは支洞は垂直に上のほうへ続いているため、それ以上は進めなかった。

地下水が流れた穴なのだろう。

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鍾乳洞の入口の横に、崖の上へ登る小さな階段があったので登ってみた。

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途中からは手作りの怖いようなハシゴになる。

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登り切ったところには崖に小さなくぼみがあり、瞑想所になっていた。

壁に奇妙な線画が描かれている。

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パゴダのある場所からは景色が一望できる。

北斜面で日も当たらず風も通るので、涼しくて気持ちがいい。

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眼下にはミャインジーグー街道。左手に見える小山も気になるところだが道が見当たらない。

遠くに見える水域はイェビュートダムの貯水池。湖の先はラインブエ町の方向になる。右端のゆるやかな丘陵にはたくさんのパゴダが並んでいるのが見える。

絶景というわけではないが、人煙の少ない広々とした風景はいつまでも見飽きない。

(2014年11月08日訪問)