カレン正月・郊外会場

巨大な福の神の人形があった。

(ミャンマーカレン州パアン)

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続いて、郊外のお祭り会場にも行ってみた。

場所はパアン空港(休止中)のすぐ北隣りの広い空き地。パアンで大きなイベントをするときはだいたいここでやる。

立派なゲートができていた。

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ゲートをくぐると、巨大な人形が見えてくる。

数日前ラインブエ街道を通ったとき、何か造ってるな、とは思ったんだが。

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人形の高さは10mくらい。

連れている犬だけでもゾウくらいの大きさがある。

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で、この人形が何なのか、というと通訳さんがいるにもかかわらずよくわからない。

「これ、おもしろいねー?」

みたいな説明しかしてくれない。職場で契約している通訳さんはキリスト教徒なんだが、歴史とか民俗関係はあまり詳しくなく、関心もないみたいなのだ。それゆえ、現地の民俗や仏教についての私の理解はなかなか深まらない。

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このおじさんの姿のイラストをどこかで見たことがある。パイプをくわえているのがこの人物の特徴らしい。

これは歴史上の英雄とかではなく、たぶん正月神か福の神みたいなものではないかと思う。背中に収穫した野菜を背負ってやってきて、村に豊饒をもたらすのだ。

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こちらにも移動式の文化展示ブースが。

保健省が病気の啓蒙や麻薬撲滅のために患者の写真を展示しているようだ。遠目にもグロ画像っぽいものがちらほら見える。それなりに人気なのがミャンマーらしさ。

ミャンマーって、エロ文化が未発達な分、明らかにグロ文化がすごい。日本では医学生でもなければ一生目にすることがないような画像を、多くのミャンマー人が日常的に刺激として楽しんで(?)いるのだ。

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お店もいくつか出ている。

金物をあつかうお店。地元の野鍛冶が造ったナタのなまくら具合がすごい。

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この会場にも、市内会場と同じように接待所が作られていた。

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周囲が柵で囲まれているところも同じ。

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農具が置かれていて、民族衣装を着飾った女の子たちが代わる代わる記念撮影している。

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コティ村で見た(みの)はこうやって使うのか。

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どぶろくの接待。

柵の内側にどぶろくの入ったカメが置かれていてそこに篠竹のストローが差してあるというワイルドさ。

こちらのほうがより本来の形に近いのだろう。

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中を覗いてみたら、なかなかにイイ感じの発酵具合。これはちょっと、どうなんだ?

いや、たぶん正しく造られているお酒なんだろうけど。インスタ映えとは正反対のベクトル。

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「これ、ちょーヤバくね?」とか言いながら、飲むふりだけしてスマホで撮影している地元のギャル。

たぶん、パアンっ子でもこれを飲むのは勇気がいるんじゃないかと思う。

私は連休の最初におなか壊したくないので、やめておいた。

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モミを積み上げた上になにかお供え物がある。

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シキミ、トウモロコシ、ノゲイトウ、(ちまき)、稲穂が備えられている。

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そのとなりにも、より民俗的な展示コーナーがあった。

実はカレン正月の日には通訳さんと一緒だったので、あまり隅々まで歩き回らなかったので、次の日にもう一度見に来た。

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ここで展示されているのは、籾蔵、お宝の木、精霊棚である。

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籾蔵の近影。

蔵は竹のフレームで出来ていて、モミを足しながらインペアモウという葉の建材を継ぎ足していくものと思われる。日本の板倉に近い。

ネズミ返しなどはないしフタもないから、鳥やネズミは食べ放題だが、たぶんそういうことは気にしないのだと思う。

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柱には実ったままの稲穂を編んだ飾りが下げられている。想像だが、これはスズメなどの小鳥に実りを分けるためのまじないだろう。

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小屋の周りには葉に包んだおこわと、竹串に差した帆掛け舟みたいな形の木彫りが置かれている。

以前、プゥテキ村で見たナイフ型の飾りと同じものと思うが、ここの造形は必ずしもナイフには見えない。どちらかというと鳥のシルエットのようでもある。もしかして、中国の雲南地方にあるという鳥竿というトーテムポールに近いものかも。

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お宝の木。

勝手に名付けた。まぁおそらくその名前で間違っていないと思う。

木にたくさんの果物やお菓子が吊ってあるのだ。

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後日、ミャンマー人のSNSを見ていたら、正月の行事で似たようなものが写っていた。それは日本のどんど焼きみたいな小屋に火をつけ、お菓子がついた柱が倒れたら子どもたちがお菓子を取れるというもの。

この柱もおそらく、最終的には倒すか登るかしてお供え物を取る流れになるだろうと思う。

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木は立ち木ではなく、どこからか切ってきて掘っ建ててあるようだ。それにしても登りやすそうな樹だな。

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続いて、精霊棚。

やはり勝手に命名しているが、たぶん合ってるだろう。ナッなどミャンマーの精霊信仰に由来するものだろうと思う。

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ここにもなぞの木彫がたくさん差してある。

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粽やおこわが供えられている。

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三角形平面の小屋。

お祭りだからオモロイものを建ててやった、というノリのものかと思ったらそうでもないらしい。

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というのも会場の文化展示ブースにあった写真に、この小屋と似たようなものが写っていたのだ。

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この写真の上段、左から2つ目の小屋。どうも平面が三角形っぽい。

この展示ブースの内容はパアン市近郊の民俗を紹介するものらしく、どうも新興宗教のテラコンに関連する習俗が多く紹介されていたようなのだ。通訳さんが一緒だったので、この村がどこにあるとか、どういう人たちなのか厳しく問い詰めたのだが、結局情報は得られなかった。

やっぱり自分の足で見つけ出すしかないのかな。当面、衛星写真で三角形の物体を探しまくろう。

衛星写真を探しまくった結果、後日、テラコンの村を見つけた。

(2016年12月29日訪問)