旧漆川村の南東部、影野地区の風景を見ていこう。
影野地区は先ほど紹介した漆川地区からは小さな尾根を越えた隣りの谷になる。そのためか、ちょっと村の風景が違う。漆川は棚田もありコメが作れそうな土地だが、影野にはコメを作れそうな場所がほとんど見当たらない。傾斜した畑では換金作物としてのタバコ、食料としての麦、蕎麦、ジャガイモ、(
そして森が多く、もしかしたら林業のほうが盛んだったのかな、という山里の風景なのだ。
敷地いっぱいに主屋や納屋が建て込んでいる民家。
二つ櫓の総二階の建物が見える。
想像だが、内部は吹き抜けのタバコ乾燥室ではないかと思う。他の可能性としては養蚕の上蔟室だが、養蚕はタバコよりも年代が下るので、蚕室だとすれば建物が古すぎるからだ。
このように1戸の家に多くの建物が密集しているのが影野の特徴だと思う。なぜこんなに建物が必要なのだろう。そういう家業だったのか、あるいは、家族が多い家だったのか・・・。寄棟の
古民家の調査ってあるけれど、調査時にどのように生活しているかとか、敷地内にある納屋が何なのかとかに、無関心な報告書が多い。
かっこいい木造3階の崖屋。
乾燥室と思われる建物を反対側から見たところ。
2階部分に換気窓がいっさいないので、乾燥室ではない可能性もある。
上写真と同じ家の続き。敷地の左側にも建物が並んでいる。
稲架掛けもこれだけ並ぶと迫力がある。
石垣から舞台のように床を迫り出して土をかぶせ、地下を物置に使っている。こうした構造をこのあたりでは「ヤマト」と言うようだ。
主屋の上の草原はもとカヤ場ではないかと思われる。
崖屋だが、4階建てのすさまじい納屋。
いったいどんな家業をしていたらこれだけの建物が必要になるのだろう。
家に登る石段。もはや町並みのような雰囲気。これが1軒の家なのだ。
納屋の左側にも石段。
同じ家を右側から見たところ。
石垣の地下収納「ヤマト」もある。
上が隠居屋になっている納屋は、1階部分が高いので内部は葉タバコのだったかも乾燥室かもしれない。
(2009年06月28日訪問)