かつて西上州には無数の組合製糸があり、その組合製糸をさらに束ねた組合もあった。代表的な組合は、「甘楽社」、「下仁田社」、「碓氷社」の3組織で、それを称して「上州南三社」といった。
小幡組製糸は、その三社のうち甘楽社に所属する製糸だった。現在、小幡町の辻にその繭倉庫が残っている。
以前、藤岡市の上日野という奥まった在所で、養蚕や機織りのことを聞き込みしたとき、繭を小幡組に出荷していたという話を聞いたことがある。上日野から小幡へは、高い峠を越えなければならず、重い荷物を運ぶのは大変だったろう。
レンガの積み方は、イギリス積み。
窓のまぐさ石は上側だけにあり、かつその上に、レンガの小口を縦に並べた意匠があるところが、きょう見てきた他の倉庫群とは異なっている。
軒の作りは、垂木のような模様があり、中沢組の倉庫と似ている。
現在、倉庫の内部は、甘楽町歴史民俗資料館として公開されている。
資料館の中でみることができる史料。これがかつての小幡組の製糸工場の風景だそうだ。どこにあったのかは書かれておらずわからなかった。
どうも組合製糸のことを調べようとすると、ちょっとしたことでもわからない。富岡製糸場だけでなく、もっと他の製糸についても、浅くてよいので情報を集めて欲しいものだ。
陶器製の製糸鍋と、糸を寄りつけるのに使う「みご
機械製糸ではなく、小さな製糸場で玉糸などを作るのに使われた部品のようにも思える。
養蚕、製糸関連の展示資料は比較的種類が多く、内容も他の資料館では見られないものも見受けられるので、見ごたえはある。
左写真は、繭から引き出した糸を陶器に開いた小さな穴に通すことで、余計なゴミを除去して生糸の繊度を安定させるための道具。「
絹笠明神の鏝絵が展示されていた。けっこう怖い顔をしている。
右手に種紙、左手に桑の葉を持った独特の姿。
この資料館の2階には、紙すきの道具が保存されている。
養蚕の展示より、実はこの道具一式の方がこの資料館を特徴づけている貴重なものだと思う。甘楽町の山奥、秋畑地区はかつて紙すきが盛んだったという。そその紙すきの資料が充実して展示されているのだ。
現在、秋畑の和紙づくりは完全に途絶えている。
紙すきについては、まだ私自身勉強不足で、この史料の評価はできない。
いずれこの道具類がどんなものなのか理解できたとき、もう一度じっくり紹介するときがくるかもしれない。
(2013年11月24日訪問)