ズェガビン東参道

階段が整備されていて西参道より登りやすい。

(ミャンマーカレン州パアン)

写真

ミャワディ行きはヤギの運び先でいろいろと時間がかかりパアンに帰るころには夜になってしまっていた。その帰路でズェガビン山の東側を通ったとき、参道に明かりが点々とついているのが見えた。ズェガビン東参道は、GoogleMapsで見ると等高線に直角のとんでもない平均斜度の山道で、岩にしがみつきながらの登山になるのではないかと想像していた。

だがこの明かりの様子だと、ちゃんとした参道なのではないかと思えてきた。

写真
写真

次の土曜日、この東参道を攻めることにした。

『ウルトラマン』に登場する怪獣ガヴァドンを思わせる山容。平野から急角度に立ち上がっている山なので、近くまで寄っても山の全体が見渡せる。大岩壁がすごい迫力だ。大岩壁の部分は登れそうにないので、登山道はやや左寄りの植物が繁っている部分にあるのだろう。

よく見ると途中に小さな小屋が見える。

いまから、あそこに、行くのだ。

写真

東参道の登山口には寺院がある。

それについては紹介済みなので、詳細は割愛。参道入口の目印は二間二戸の山門だ。

写真

登山口には立派な石橋がある。

前回のときは、他の山を登った同じ日だったのでここで引き返したが、今回はそれなりの覚悟で到着。

ウチワと1.5リットル分のミネラルウォーターを持ってきた。

写真

階段とはいえ、登り始めからいきなりどぎつい斜度。

ふらついて後ろに転んだら大変なことになりそう。

写真

いまは暑季だ。

気温は軽々と30度を越えており、日射も強い。

いくらも登らないうちに息切れしてくる。

写真

現地の子たちも木陰で一休み。休みながらスマホをいじっているあたり、現代っ子だなあ。

以前に西参道を登ったときは、途中で西洋人のバックパッカーなどにずいぶん追い越されたが、今回は現地の若い子たちとほぼ同じペースか、私のほうがやや速く登っていく。

現地の子は身体能力がずばぬけているというわけでもなく、やっぱり同じ人間だなと実感した。

写真

ところどころ手すりがある。手すりがある場所は手すりにすがりながら登る。登山用のステッキがあればだいぶ楽なのだろうな。

以前に西参道を登ったときは靴を履いて行ったのが、今回はサンダル履きである。標高差500m以上はあろうかという山登りでも、サンダル履きでいいやと思えるくらいには私も現地化してきた。

写真

途中、茶屋の跡があった。

いまここで冷たい飲み物を売ってたら、絶対買う!

写真

少しだけ平坦な場所があり、登山道は大絶壁のほうへ進んでいく。

登山道全体を通して、平坦な箇所はわずかしかない。

写真

ほぼ垂直の崖に石を積んで道を作った場所に出た。

石段は狭く、手すりは低くて錆びついている。

写真

手すりの外は絶壁で、足がすくむ。

高所恐怖症の人はここを通過できないだろうと思う。

写真

特に怖い石段は50mほどであった。

写真

そこから先は特に恐ろしい場所はない。

といっても、ほとんど垂直の崖に貼り付くように付けられた階段なので常に高所感は味わえる。

写真

登り口のお寺が点のようになった。

だいぶ登ったな。

登山道は大岩壁に突き当たった。この場所からはパアン市方面が見える。

手前にある三角の山はチャーインパゴダの山だ。あの山に登ったときはパアン市街を眼下に一望できたが、いまはその山を見おろしている。

写真
写真

登山道は大岩壁に突き当たったところから、小さな谷に入っていく。

写真

ふもとから見えた白い建物に到着。

この場所まででだいたい登山道の半分くらいか。

写真

建物は僧房っぽかったが、人は常駐していないようだ。

だが電気も来ているし、水を溜めるタンクもあるので、常駐はできそうな雰囲気。

それにしてもこんな場所に人力だけでよく建物を造ったものだ。水のタンクを運び上げるだけでも大変だろうに。日本だったらヘリで資材を運び上げるだろうが、ミャンマーでは当然のように人力なのである。

写真

ここには湧き水があるので、僧房を建てたのだろう。

湧き水は日本人には飲用は無理だが、顔を洗ったり水をかぶったりできる。日陰のベンチもあるので、ここで少し長めに休憩。

写真

一応、トイレもある。

水で洗うミャンマー式なので、気軽には使えない。

写真

建物から先は谷筋を登るため、日陰が多くなる。

斜度は相変わらずだが、日射がないだけ多少は楽になる。

写真

道端に穴があった。

位置的にみて、小さい吸い込み穴である。つまり斜面を流れた雨水はこの穴に入って、溜まることなくどこかへ流れていくのである。おそらく中に鍾乳洞があるだろう。

写真

サルが現れた。

西参道でも比較的標高の高い場所にサルがいた。

餌付けされているというわけではなさそう。人間を見ると逃げてゆく。

写真

小さな岩陰に整備された洞窟があった。

湧き水もあるようで、袈裟が干してあったので、瞑想に利用しているのだろう。

写真

谷筋が終わり、再び斜面に出た。

ガヴァドンの頭の角にあたる山が下に見える。

山頂が近づいていることがわかり、にわかにチカラが湧いてくる。

写真

山頂に到着。

食堂(じきどう)と土産物売り場がある、見覚えのある場所だ。こんなところに参道がつながってたのか。

登り始めから山頂まで、時間にして二時間半であった。

石段にはどきどき段数がペイントしてあった。何人かが書いたみたいで、解釈が異なる数字が数種類併記されているが、一番正確そうな数字によれば山頂までは 3,700段。人力でよくこれだけの階段を作ったなと感心する。

東参道は全体がコンクリで舗装されていていた。西参道は途中に急な土の斜面もあるので、比べてみたら東参道のほうが楽に登れるように感じた。日照のことを考えたら、西参道は午前に、東参道は午後に登ったほうがいいかもしれない。

もっとも、ロープウエイの工事も始まっているので、これから訪れる日本人観光客がこの参道を登ることはないかもしれない。

つづく...

(2015年04月25日訪問)

いちばんやさしい ブッダの教え

単行本(ソフトカバー) – 2014/5/19
田上太秀 (監修)

amazon.co.jp

絵も多く読みやすいです。侮れない内容のオススメの本です。国内だけでなく、上座部仏教の国でお寺を見るときの理解の助けにもなります。