では、参詣に来たミャンマー人はどこでなにをしているのかというと、パゴダの基壇の中にある信徒休憩所で、座ったり寝ころんだりしてくつろいでいるばかりである。
あとは、かろうじて木陰になっているベンチで休憩したり・・・。
カレン族の民族衣装を着た美少女発見!
これは普段着ではなくて、お寺参り用におめかししてきたのだろう。必ずしも信仰心や民族主義の発露というわけではなく、ミャンマーではお寺参りが最大の娯楽なので、遊びに行くときにおめかしするという感覚なのではないかと思う。
展望台のわずかな日陰で、西洋人がごろ寝して読書中。この遠い国まで来て読書で時間をつぶすって、どんだけ時間に余裕のある生活なのだろう。同じ場所にいるのに、わずかな休日に血まなこで寺参りしてる私とは正反対だな。
このあたりはもうパゴダから離れているので、サンダル履きで移動することにした。
角のような形をした山。
この奥に見える白い建物は空中放出型トイレである。
斜めに突き出たパイプから、液体が飛び出してる。
排泄物が放出されているのだ。トイレは数百mの絶壁にあるので、排泄物はダイナミックに空中に飛んでいく。
場所が場所なので、他に方法はないのかもしれないが、風向きが悪いと、このあたりまでちょっと匂いが来る。
トイレの内部。この便器の先が直接パイプにつながっている。
ミャンマーのトイレは和式と似ているが、座る方向が逆。大をする場合はお尻を奥に向け、扉側に向いてしゃがむ。そして紙を使わずに左手でお尻を洗う。山頂なのにちゃんと水もあったし、そこそこ清潔だ。
ただしほとんどの日本人は手でお尻を洗うのは無理だろうから、ティッシュで拭いて使用後の紙はエチケット袋に入れて持ち帰り、ゴミ箱に捨てるのがいいと思う。
西参道のほうへ行ってみた。
西参道はこのように尾根道のため、歩く距離は東参道よりも長くなる。
前回来たときは、登山路だけをあるいていたのだが、今回は登山路から外れて、電波塔の下の斜面の人が行かないような場所へ入ってみた。
この丸い基壇は、たぶんヘリポート。
注意深く見ると、登山道からは見えない崖の下のほうに階段があるではないか!
この下はおそらく、ズェガビン兄妹神のヒトガタがある数百mの垂直の壁。
しっかりした階段があるとはいえ、気楽に歩けるロケーションじゃない。
一歩一歩踏みしめながら階段を降りてみた。高所恐怖症の人は絶対無理であろう。
階段はすぐに行き止まりになっており、絶壁にあいた小さな洞窟があった。
瞑想のための場所ではないか。
奥に見える扉は押入れか何かだろう。
それにしてもすごい場所にある修行窟だなあ。
さて、前回の登頂記でも山頂からの鳥瞰は簡単に紹介した。
今回はその風景に含まれているパアン市周辺の名勝を紹介しようと思う。
一部、未訪問の場所もあるが、後日訪問したときに順次このページをアップデートして補完していくつもりである。
南の風景。
① ヤーペータンパゴダの山並み。「タン」は山なので「ヤーぺー山」ということか。ふもとの岩には日本兵が彫ったという文字が残る。この山並みの切れるところにはロンニャ沼という水浴場もある。また山の陰になって見えないが、ターマニャヒルという仏教の聖地がこの山の先10kmくらいのところにある。
② 今回の滞在で訪れた カモカポ僧院の山。山頂まで登れるが足場は悪い。
③ ズェガビン山脈の南端には大規模な鍾乳洞サダンケーブがある。風光明媚な遊覧池もあり、時間に余裕があればぜひ行きたいお勧めの観光スポット。
④ かなり距離があるのでかすんでいるが、タンカリー僧院の小山がぽつんと見える。
⑤ ドンイン村のドンイン滝。滝といっても実は湧水池の水浴場である。このあたりにはカレンカルトのひとつプゥテキの発祥の地や、珍しい左脇臥の寝釈迦がある。この背後の山中に、カレン族発祥の王国があったという伝説があるようだが場所は不明。写真中央の窪んだ地形はドリーネかもしれない。
⑥ ズェガビン山の西登山口のボディタタウン寺院。千体の仏像が並ぶ。
南西の風景。
⑦ パウン山脈。この山脈の手前に州境が通り、山脈自体はモン州になる。山脈の裏側に国道8号線が通り、ジンチャイッ滝やもう一つのゴールデンロックといわれるノアラボーパゴダがある。(いずれもモン州)
⑧ サルウィン川。中国に源を発する大河。大きな中洲には村がある場合が多い。
⑨ コーゴン洞窟の南の小山その1。周囲は水田で取りつく道路がない。おそらく寺はないだろう。
⑩ コーゴン洞窟の南の小山その2。山影はひとつだが実際は2つの山。北側の山にシュエチャーピン洞窟という鍾乳洞があり細々とだが開発されている。
⑪ コーゴン洞窟。モン文化の黎明期の磨崖仏や文字が残るという史跡。洞窟は深くないが、観光名所。
⑫ チャウカラッパゴダ。ネギ坊主のような奇岩が池の中にそびえる観光寺院。パアンの観光コースを代表する景観。
⑬ 並木道はパアン・モーラミャイン街道。右へ行けばパアン市街までは10km、左へ行けばモーラミャインまで約50km。
西の風景。
⑭ ヤテピャン洞窟。写真では切れているがコーゴン洞窟の隣の山になる。通り抜けできる鍾乳洞で洞窟内に仏塔がある。行くならコーゴン洞窟と一緒に見学すると効率的。
⑮ コーゴン洞窟から連なる小さな山脈の南半分。当サイトでは南ヤテピャン山脈と呼んでいる。北端の尾根に小さなパゴダや鍾乳洞がある。
⑯ コーゴン洞窟から連なる小さな山脈の北半分。当サイトでは北ヤテピャン山脈と呼んでいる。この山脈の北端には多くの小さな洞窟寺院やピーメドーヤ僧院という立派なお寺がある。
⑰ 当サイトでミャインカレイ山脈と呼んでいる小さな山脈。セメント工場の採石場がある。山脈の北端にはティリィヤダナシュェグゥという鍾乳洞がある。
⑱ パアケッ山。山麓にはバットケーブという洞窟があり、夕方の一定時刻に大量のコウモリが飛翔する。
⑲ ポーショー山。山頂に小さな鍾乳洞があり、お寺の境内へはその鍾乳洞を通り抜けなければたどり着けない。
⑳ 斜めに見える並木は、サルウィン・パアン橋への取り付け道路。グレーに見えるのが橋。このあたりにチャウワァダ洞窟寺がある。
㉑ タウィグダ洞窟寺。付近にはズェガビン観光向けのホテルが何軒かある。
㉒ ダンデヤニャイーパゴダ。四角の敷地はチャウカラッの丸に対抗したのか。
北西の風景。
㉓ バーインニィ温泉寺。境内の池が温泉になっている珍寺。男湯、女湯あり。ミャンマーなりの衛生度だが無料で入浴できる。服を着たまま入浴になるので、着替えとタオルを持って行きたい。パアン市街からは、サルウィン・パアン橋を経由するので25kmくらいの道のりになる。
㉔ サルウィン川の中洲にあるタミンソー山。ここにもパゴダがあるが対岸から舟で行かなければならない。
㉕ ジェーダパゴダ。登り口が見つけにくいが、山頂は360度の展望がある。20分くらいで登頂できる。
㉖ パアメータン寺院。川辺に着き出した小山の寺。カンターヤ湖周辺のホテルに滞在したら朝の散歩がてら参詣するとよいかも。
㉗ ガバーロンパゴダ。コブラ光背の大仏がある建設中の寺。斜めに見える道路はズェガビン通りといって、パアン市街とズェガビン西登山口をむすんでいる。
北の風景。
㉘ 低い丘陵に金色のパゴダが並んでいる場所。一種の寺町で一番目立つ寺はピーロンイィチャンダ寺院。その手前に並ぶ白っぽい建物は警察軍施設。
㉙ タゥライン西山。採石場のある小山。周囲は沼地で採石をする人々がわずかに生活しているだけ。寺がありそうな立地だが現時点ではない。いつか寺が建つかもしれない。
㉚ パアプゥ山。パアン市街を一望できる小山。山頂にパゴダがある。私が行ったとき山頂は崩壊していて登れなかったが、またハシゴがついたようだ。ただし登るのは冒険になるだろう。『lonely planet』ではお勧めスポットとして紹介されているが、当サイトでは他のマニア物件と同レベルという認識。
㉛ タゥライン東山。周囲を沼や湿田に囲まれていて、見たところ近づく道がないので寺はないと思われる。未確認の小山。
㉜ チャウタロゥ山。チャーインポロム僧院山上伽藍があり登ることができる。山脈の南東側にコーピャタン洞窟という深さ3,200mはあるといわれる鍾乳洞がある。
㉝ モゥクディ山。サルウィン川西岸に突き出した大きな山。北端にはヤンォンチャゥンダパゴダという洞窟寺院がある。
㉞ カンターヤ湖。パアン市民の憩いの場であり、湖畔からのズェガビン山の眺めはすばらしい。この湖の近くには外国人が宿泊できるホテルがいくつかある。
㉟ シュエインミョウパゴダ。パアンの地名の由来となった伝説の地。隣りには河港があり、マーケットも近い。この付近にも外国人が宿泊できるホテルやゲストハウスがある。
北東の風景。
㊱ ノンカミャイン山。サルウィン川上流地域ミャインジーグーやチョントゥ滝方面へ行く街道がこのあたりを通っている。矢印のあたりにタマテイディバター僧院やノンカミャイン洞窟寺が、その先にはパドン洞窟寺がある。
㊲ ラッカミ山。山の高い位置にマイカンユゥ洞窟寺と鍾乳洞がある。そのすぐ隣りにはティッサーディ大仏という彩色磨崖仏と鍾乳洞がある。
㊳ ノンカミャイン村にある小山。採石している人々が活動しているだけで、現時点ではお寺はない。
㊴ パアン空港。小さな旅客ターミナルっぽいものはあるが定期便もなくほとんど使われていない。普段は牛が草をはんでいる。
㊵ 白い点のように見えるのがタンガリー僧院の巨大な本堂。このお寺の境内には病死した日本兵の墓があるというような話も聞いたのだが未確認。
㊶ 赤茶色の地肌が出ている場所はパアン工業団地。2015年時点ではほとんど入居者がおらず、縫製工場があるくらい。
東の風景。
㊷ ウィブラー山。鍾乳洞があるという話を聞いたが、航空写真からは場所がわからず。何度か行ってみたのだが見つけられなかった。近くに小山がありそこには鍾乳洞っぽいものがある。
㊸ トゥンウェン山。山頂にパゴダがありここ数年、若者たちに人気のデートスポット。今後、外国人も訪れるような定番観光地になるかもしれない。
㊹ トゥンウェン山の山つづき。2018年ごろオープンした大規模な観光鍾乳洞イサディア洞窟がある。
㊺ 小さな山だがパーピャン洞窟寺という鍾乳洞がある。
㊻ 当サイトでノゥトゥディ山脈と呼んでいる山脈。北麓に小さなパゴダがあるが周辺は悪路が多く近寄りにくい。
南東の風景。
㊽ ノゥトゥディ山脈の中心の山塊。このふもとに最近、顔だけの大仏があるブッダガヤ庭園寺が誕生して話題になっている。山脈の尾根に登れそうなパゴダがいくつもあるが未訪問。
㊾ ノゥトゥディ山脈の南端、コーピャ山か。アウンサン将軍がミャンマーに進軍したとき、この山の手前側のすそ野あたりで野営したという。付近には点々とパゴダがある。そのひとつザゴゥワタン寺院にはとても長い回廊がある。
㊿ コウカッタン洞窟寺。迷路もある一種の珍寺。境内には3つの鍾乳洞があるが、2つ目と3つ目は見つけにくいので注意。水浴場もあり一年中泳げる。
(2015年04月25日訪問)