恵門ノ瀧

札所81番。参道が途中から鎖場、洞窟の中に太鼓橋!!

(香川県土庄町小部)

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次に向かう寺も、投込堂型の伽藍があり、洞窟があるのではないかと期待される。

小豆島八十八ヶ所霊場の81番札所、「恵門ノ瀧」。

「瀧」といっても waterfall があるわけではない。小豆島のお寺の奥の院で険しい崖にお堂が作られている場所を指す言葉だ。

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山道を進み、駐車場に到着したのは16時前。

小豆島の霊場は閉まるのが早いので、拝観できるかどうかギリギリの時間帯である。

急いで石段を登らなければ。

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古い参道も残っていた。

たぶんふもとから徒歩で登るとこのルートになるんだろう。

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石段が続く。

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途中には如意輪堂。

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軽く外観だけを撮影。

中は見なかった。

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しばらく進むと石段が分かれてていて、右側には地蔵堂があった。

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やはり軽く外観だけ撮影。

よく見ると地蔵堂の後ろにさらに小さな祠がある。切妻妻入りなので、鎮守社じゃないかな。

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左側のメインの石段を進んでいくと、ウバメガシの森を通り、

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山門の竜宮門の鐘楼門が見えてきた。

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竜宮門とは、日本人が竜宮城に対して抱いているイメージを具現化した楼門の一種。

「中国風の門」とか「明朝の建築が起源」という記述をいたるところで見かけるが、エビデンスが欲しい。

これって日本独自のものじゃないかとすら思っているのだが。

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石段の崎には巨大な崖が見えてくる。

あの崖に投入堂があるのだろう。

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さらに中門の高麗門がある。

寺の参道に門が2つある場合、外側にあるのが単層の四脚門等で、内側にあるのが重層の楼門というケースが一般的だと思う。

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この寺では、先に竜宮門があり、次に高麗門があったので、竜宮門=山門とみなして、高麗門=中門とした。

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高麗門とは、薬医門の門柱と控柱のあいだに小さな屋根を載せた型式の門。

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高麗門から崎の石段には、一段ずつに賽銭箱が置かれている。

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その石段の踊り場には香炉台のようなものがあり、、、

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そこから先はなんと鎖場になっているのだった。

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こういう、参道の鎖場って通行禁止になっていることが多いのだが、ここは通行可だっのがうれしい。

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もちろん、迂回路の石段があるので、普通の参拝者は石段を登ればよい。

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途中にあった、竜宮風トイレ。

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衆寮かな。

懸崖造りの2階建てで、いまは使われていないようだった。

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石段を登り切ると、崖にめり込んだ朱塗りの本堂に到着。

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こりゃまた、想像以上の大きさ。

間口が19間もあるのだ。

投入堂型式で、こんなに横に長い建物って、国内でここ以外には無いんじゃないだろうか。

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ありがたいことにまだ拝観時間内だったので、さっそく中に入らせてもらう。

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本堂内は赤い毛氈が敷き詰められ、天井にはおびただしい数の赤ちょうちん。まるでお祭り会場のよう。

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きわめつけは朱塗りの太鼓橋である。

屋内の太鼓橋、それは奇抜な建築設計の奥義といってもいいテクニック。

さざえ堂が奇抜に感じられるのは、木造のスロープや二重螺旋という要素以外に、頂上部分が太鼓橋になっているというポイントがある。いや、さざえ堂の奇抜さの半分くらいは太鼓橋にかかっていると言っても過言ではないと思う。太田さざえ堂、本所羅漢寺、大分羅漢寺などにも太鼓橋が重要な要素となっている。

この本堂の設計者もすべて承知のうえでこの奥義を繰り出してきたのであろう。しびれる!

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しかもこの太鼓橋は飾りではなく、お参りできる経路になっているのだ。

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太鼓橋の先には胎内潜りふうの穴があり、薬師如来の洞窟へと続いている。

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洞窟の出口は別で、護符売り場のところに出てくる。

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右側の太鼓橋と、左側の洞窟がつながっているという、素晴らしすぎる構造。

どうしたらこんなことを思いつくんだろうか。

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だがこの洞窟の主洞は、太鼓橋のところではなく、さらに左側にある薬医門の先である。本堂の中にさらに門があり、洞窟の奥へといざなっているのだ。

門の両側には、不動明王の脇侍である制多迦(せいたか)童子と矜羯羅(こんがら)童子の石像。

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薄暗い階段を登って洞窟の奥へ進んでいく。

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途中から階段は下りになり、この寺の本尊である不動明王の間へと続いている。

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不動明王の前には護摩炉があり、本尊はさらに小さな穴の中に安置されている。

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本尊の不動明王。

その左右にはまたも制多迦童子、矜羯羅童子の脇侍がいた。

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本堂から出て、さらに先に進んでみよう。

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本来の参道でもある鎖場はこんな場所に通じていた。

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本堂が巨大な崖の下にあることがよくわかる。

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本堂の先には洞門のような通路がある。

これは元々は自然地形だけど、歩きやすいように加工されているようだ。

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この場所からは岡山方面の瀬戸内海が見えた。

恵門ノ瀧は、小豆島の多くの洞窟寺院の中でも特に内部が複雑でオススメの寺院だ。洞窟寺院好きならばぜひ一度は訪れたい。

(2006年10月08日訪問)