西の滝

札所42番。本堂から洞窟へ進むといつのまにか観音堂へ。

(香川県小豆島町池田)

小豆島山間部の肥土山から、南の海岸線へ移動。

次なる目的地、小豆島霊場第42番札所の西の滝が見えてくる。

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ここも小豆島の他の山岳寺院と同じように、山頂付近の集塊岩崖の途中にあるのだ。

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他府県で、こんな険しい景観の寺があればそれだけで観光客が押し寄せそうだが、小豆島には山手線内ほどの面積にこれまで紹介したように、いくつもの山岳寺院がある。

だが離島ということもあって、訪れているのは敬虔なお遍路さんが主体で、観光客は意外なほどに少ない。

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遠目には大変な登山が必要そうに見える立地だけれど、道路が整備されていて、門前まで車で行くことができる。

駐車場から緩い石段を登ると薬医門がある。

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薬医門を潜ると礎石がある。

たぶん元々は四脚門があったのではないか。

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そこから短い石段を登ると、ローソク岩とそこに掛けられた懸崖造りのお堂が目に飛び込んでくる。

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まったく、なんつーかっこいい寺なんだ。

三仏寺投入堂の、「ハイ、平安でございマス、国宝でございマス」みたいなお高く構えた神々しさとは違う、血わき肉躍る仏教世界。もうね、世界中の仏教徒に来てもらいたい、そのくらいのカッコよさだよ。

RC造でやみくもに階段が付いている感じとか、朱塗りの基礎部分とかしびれる。もしこれがオール木造だったら「あー、ご立派な寺ですね」って感じの疎外感すら感じてしまう私なので、RC造というのがプラスポイントでしかないのよ。

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石段を登ったところには単層の鐘堂がある。

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その先には厄除け大師堂。

中門のように見えるのは大師堂の唐破風向拝。

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大師堂の内部。

賽銭箱の上に五鈷杵(ごこしょ)が置かれていた。

この五鈷杵には紐が結びつけてあり、、、

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それを辿っていくと、内陣のお大師様の手に結びつけてある。

五鈷杵を持つことでお大師様と直接縁が結ばれるという仕組み。このシステムを「(ぜん)(つな)」という。

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大師堂の向拝を通り抜けてさらに進むと、、、

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茶店のような休憩所のようなものがある。

いまは営業していなかった。

その右側には蘭塔。

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本堂は石垣の上に建ち、直線的な階段で登るようになっている。

戸が閉まっているが、野生のサルが中に入っていたずらをしないように閉めてあるだけで拝観はできる。

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本堂の内部。

本尊の十一面観音は薄暗い内陣にあって、御簾もかかっているのでまったく見えない。

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ん??

内陣の左側に薄暗い通路が!!

ここにも地下霊場があった!

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洞窟のルートは外陣から履物を履いたまま進む。

薄暗いが、奥に明かりが見えるのでそれを頼りに進んでいく。

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洞窟の行き止まりには、水場があった。

この水場は龍水といい、弘法大師が悪龍を封じ込めたところから湧き出したものだという。

でもね、ここは人工洞窟みたいだし地質的に水が湧きそうにもないので、外から配管で引いてきているんじゃなかろうか。

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なんと、帰路は別ルートになっている。

左側の洞窟を進む。

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ここは完全に人工的に掘り抜いたトンネルだ。

わずかな明かりを頼りに進んでいく。

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トンネルの出口!

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なんとそこは、柳谷観音堂という別のお堂だった。

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本堂と柳谷観音堂の関係はこんなふうになっている。

景観的にも目を見張るものがあるのに、さらに地下道でお堂がつながっているなんて、夢を見ているの???

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柳谷観音のまわりには鎮守社や石造不動尊、蘭塔などがある。

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ここから護摩堂へ登れる。

赤い柱の懸崖造りのお堂だ。

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内部には金色不動明王が祀られている。

壁もきんきらきん。

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護摩堂の右側に行者ルートっぽいものがある。

登ってみよう。

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行者ルートは護摩堂の屋根をかすめるように続いていて、、、

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ローソク岩の裏側でハシゴへとつながっていた。

かなり怖いロケーションだけど登ってみよう。

さすがにカメラ二本差しは無理なので、1台だけ持って、手荷物も置いていく。

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最後には鎖場があり、ローソク岩のてっぺんに立てる。

「立つ」というのはおこがましい、ガクブルの状態なのだが・・・。

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ちなみに岩に登らなくても、護摩堂の欄干からも充分に景観を眺められる。

このお寺は参道からの眺めも印象深い。

陸地は四国。

影絵のように重なる山並みの最高峰(↓)は四国の屋根、剣山(つるぎさん)

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西のほうへ目をやれば、❶屋島、❷高松市街地、❸女木島、❹男木島、❺大島。高松沖のいずれの島へも船便があるのでいつか行ってみたい。

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❻は小豆島側にある余島と呼ばれる3島。このときは離れた島になっているが、干潮時に砂州でつながる。恋愛成就のパワースポットとされ「エンジェルロード」と言われるようになった。

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瀬戸内を行き交う船を行き交う船をぼんやり眺めていたら、池田港を出て行くフェリーが見えた。

きょうの夜はもうあの船に乗って帰らなければならないのだ。

でも行ってみたい場所はまだいくつも残っている。あと少し頑張っていこう。

(2006年10月09日訪問)