栖養八幡神社

小さな随身門と境内に薬師堂がある。

(徳島県板野町下庄栖養)

板野町市街地で映画館跡の聞き込みをしたとき、同じ板野町内の下庄にも映画館があったという話を何度か耳にした。その話の中で「八幡さまの西のあたりにあった」という具体的な場所が出たので、まずその八幡さまへ行ってみることにした。

私が真に川北街道の名にふさわしいと思っている県道14号線にも古道がある。勝瑞劇場もその古道に面していた。その古道は勝瑞から西も、現在の県道を縫うようにほぼ平行に続いていて容易に辿ることができる。

この栖養(すがい)八幡神社も県道14号線の旧道の東西の道に面していた。

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さらに南側の参道は神社に突き当たっているように見えるが、実際は境内を右に迂回して大坂峠まで通じている。この南北の道は、現在は吉野川の改修で辿りにくくなっているものの古道と思われ、かつて源義経が屋島攻略のために進軍したのもこの写真の道だった可能性が高い。

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神門がある。小ぶりだが八脚門の随身門。

随身は通り土間の向きに向かい合うように配置されているタイプ。

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たぶん、左側の像。

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たぶん、右側の像。

乾漆仏だろうか。片目が落ちてしまっている。

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神門の前には百度石。

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随身の左側には忠霊塔がある。

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神門をくぐると、短い参道が続き、右側に水盤舎がある。

現代では参拝前に手水を使わないといけないというような神社警察的マナーが一般化しているので、このように動線を省みないような位置にあるのは不思議に感じるが、参道からずれた場所にある水盤舎はけっこう多い。

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拝殿は向拝などのないシンプルな入母屋屋根。軒は扇垂木になっている。

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拝殿の後部は凸型で、幣殿を経て流造りの本殿へ室内でつながっている。

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本殿の右側には神庫と思われる建物がある。

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この神社の特徴的な建物は、本殿の左側にある薬師堂。

もともとは神仏混交でお寺の伽藍も境内に同居していたのだろう。

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他に、境内には公衆便所がある。

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この便所の小用部分は壁と排水溝だけの立ちション式。

懐かしいというか、、、これって見かけたら速攻で写真撮るよね!

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個室はボットン式の和式便器。

私が関東から徳島へ移住して、困惑したことのひとつが洋式便座の普及率が低かったこと。デパートにも洋式便座がないのには驚いた。

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いずれ、こうしたスタイルの小用便所があったっていっても信じてもらえない時代が来そう。

(2007年12月02日訪問)