12月は日が短い。16時半ともなれば、もう日も落ちて観光をする時間ではなくなる。それでも、雷電神社へ来てみた。雷電神社はその名前の通り、雷よけの御利益のある神社で、板倉のここが総本社とされている。
車で参道を進むと、鳥居の左側に20台以上は置けそうな立派な駐車場がある。
そこに車を入れて歩く。
実は、雷電神社へ来た目的は観光じゃなく、門前で夕飯でも食べられないかと来てみたのだ。
門前には川魚料理屋が2店あり、ナマズ料理が名物なのだ。だが時間が遅く閉店15分前だったので、残念ながらきょうはナマズにありつけなかった。
同ジャンルの料理屋が2店並んでいると、1店で営業するより営業上有利な気がする。1店舗だったら客の入りが倍になるということはなく、むしろ2店並んでいることで「あそこは名物だから一度は行ってみたい」となると思う。
たとえばこの界隈だと、利根大堰南詰めや元荒川の第六天社門前などに「川魚料理屋街」が存在するけど、やっぱり本場なんじゃないか、美味いんじゃないかって思ってしまう。この雷電神社門前もそういう場所のひとつだと思う。
一般的に寺社の門前町というと、イチゲン客相手で適当な料理でぼったくるというイメージがあるけれど、こちらの小林屋さんは街なかやロードサイドの川魚料理屋よりもむしろリーズナブル。
ナマズ天ぷら、鯉のあらい、鮒の佃煮など、海ナシ県の魚料理がとても手軽な値段で食べられるお勧め店だ。
ここでは夕食にはならなかったが、せっかく来たのだから神社にお参りしていこう。
魚料理屋の横に七福神の福禄寿堂がある。
まだ新しい。
最近始まった七福神巡りなのだろう。
神社の境内から門前の料理屋を見たところ。
うん! かなりの風情!
昔はもっとお店があったような気もするが、いつまでもこの風景が続いて欲しい。
神社は小高い山の上に建てられている。
水塚のような人造的な山ではない。もしかしたら、河畔砂丘かも。
拝殿は入母屋造りで、江戸後期の建物。
手挟み、小壁、蟇股など、部分的に極彩色が使われている。
拝殿の後部は幣殿になっていて、流造りの本殿と接合している。
言い方によっては権現造りと言っていいんじゃないか。
本殿も部分的に極彩色。
拝殿、本殿は県文に指定されている。
拝殿の右側には護符売り場。
拝殿の左側にも護符売り場っぽい建物がある。
初詣でや例祭の日などに開くのかもしれない。
本殿の裏側には奥宮と呼ばれる建物がある。
写真は木のかげになってしまっているが・・・。
奥宮の左側には末社の稲荷神社がある。
実は、雷電神社で一番の見ものはこの末社かもしれないのだ。室町時代の建物で、群馬県に存在するすべての建物で最も時代が古いと考えられている。
いまは群馬県にも国重文の指定物件が増えてきたけれど、私が子どものころはお寺では日向見薬師堂、神社は雷電神社の末社くらいしか国重文ってなかったように記憶している。
建物の各部意匠は、確かに古い様式でバランスも美しい。スッとした虹梁など、拝殿の写真と見比べて欲しい。江戸末期の彫物まみれのフニャフニャなデザインと一線を画する洗練された美しさ。
ただね、ほとんどの部材が新しくて時代感がないのよ。案内板によれば江戸中期に大改修、昭和35年に復元ってなっていて、いま私たちが見ているモノは江戸中期、下手すると昭和の建物ってことになりかねない。
一応、古建築に興味がある人用に文化財の案内板を載せておく。
稲荷神社の狛犬。
稲荷神社の横にあった末社アパート。
奥宮の右側にある神厩。
中には神馬がいるけれど、暗いので写真は撮れなかった。金網があるので昼間でも撮りにくそう。
境内を裏に抜けると社務所がある。
右側の建物など、やや仏教っぽいので昔の別当寺か?
社務所のほうにも参詣できる場所があるので、本殿だけでなくこちらへもお参りしたほうがいいだろう。
「なまずさん」という巨大なナマズが祀られていた。
境内の裏にも広い駐車場がある。
参道の駐車場が満車の場合は、境内裏へまわってみよう。
駐車場の一角には電話ボックスがある。
(2012年12月28日訪問)