石舟の水車跡

水受けが2つの箱水車だったようだ。

(徳島県徳島市八多町中内)

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「イシヅミ谷(?)」という場所にも水車小屋があって、かつて利用していたと話してくれたおばあちゃんがいた。

箱水車で、一斗缶2個が水受けになっていた。連続して回転する水輪水車に比べると、箱水車は言ってしまえば巨大な鹿威(ししおど)しみたいなものだからどうしても杵を搗く回数が少ない。他の水車小屋が1日で精米が終わるのに、箱水車は2日かかった。早く終わる水車がうらやましかったとか。

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場所は「石舟橋」を渡ったところとのことだったので行ってみると、そこは立派な農業ハウス(茸?)になっていて、地形が大幅に変わってしまっていた。

その水車小屋のことを知っているというおじさんから話を聞く。

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水車小屋は水輪の上掛けタイプで臼は2基。5軒が利用していたという。あれ? おばあちゃんから聞いた話とまったく違う。おばあちゃんが使っていた箱水車よりも後の時代に水輪水車が造られたのか???

水輪は杉板製で「大正3年7月」という銘があったそうだ。臼は去年まで置いてあったが、勝浦町の横瀬橋近くの生コン工場の社長が引き取ったという。

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この谷には現在は1戸の家しか残っていないのだが、その家の庭木の整枝の重しとして水車小屋の先輪(さきわ)が使われていた。

このあたりに水車小屋があったことは間違いない。

(2006年12月16日訪問)

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