高越寺からの帰り、ふいご温泉の近くを通っていたら神社が見えた。
もう日も暮れて写真も撮りにくい時間帯になったが最後にこの神社だけ寄っていこう。
柑橘畑や田んぼの中にぽつんとある神社で、扁額を見ると熊野神社とある。
拝殿は切り妻平入りで横に長いが、これたぶん公民館を兼ねた建物だ。左側に炊事場があるんだけど・・・。
後部は凸型になった覆屋で格子の隙間から流造りの本殿が見えていた。
覆屋でここまで風通しよく本殿が見えるのってめずらしい。
本殿はすっきりした現代的な意匠。垂木もない。
神棚を大きくしたみたいな感じだ。
拝殿の左前には五角地神塔があった。
境内にはギンモクセイの樹がありとても良い花の香りがしていた。
神社の背後は小さな森になっていて、火の見櫓と消防倉庫がある。
裏側から見ると道路が神社を挟むようにY字路になっていて、火の見櫓はその股のところに建てられている。鎮守の森のせいで見張り台に上っても眺望はないので文字通り「火を見る」ことはできそうにない。
屋根に電灯の笠がついている。私がかなり好きなシチュエーション。
点灯してもよい時間なんだけどな。もう使われていないのかな。
火の見櫓に明かりが灯っているのってシンボリックでありノスタルジックでもある。ちょうど海沿いの風景で灯台が灯っているような感じとでも言えばいいか。
さて、この火の見櫓の基礎に奇妙なものが置かれていた。
まな板の上にもみ殻(?)や藁を練り込んだ泥団子のようなものが並べてあるのだ。そして火の見櫓のはす交いには縄が下がっている。縄はホームセンターなどで買ってきたのではなく、稲藁を撚って手作りしたようなものだ。
子どもの仕業ではないよね?
火の見櫓はY字路の辻にあり信仰的なポテンシャルのある場所。民俗的なお供えがあっても不自然ではない。
泥で造った餅や団子を供えて願掛けして、願いが叶ったら本物の餅を供えるというまじないか???
神社よりもこの泥団子が印象的だった。きょう立ち寄ってよかった。後日ここを通っても残っているとは限らないからだ。
(2002年11月23日訪問)