安住院と同じ山並みの南側に曹源寺がある。岡山市からはちょうど山の裏側になり、ちょっとした峠を越えなければならない。
参道は200mくらい続く黒松の並木。その奥に山門、二重門、仏殿の屋根が折り重なって見えてくる。
このように堂塔が直線的に並ぶのは、禅宗の特徴である。
門前に駐車場がある。20台くらいは置けるか。
総門の薬医門。門前には堀がある。
薬医門を入るとすぐに放生池がある。この池も禅宗伽藍の重要な構成要素なのである。
一般に放生池は総門と山門の間にある場合が多い。
杉木立の中を進むと山門が見えてくる。禅宗伽藍の山門は本来はこのような五間の二重門なのである。
門の左右には
山門を過ぎると右側には袴腰鐘楼。
鐘楼の左を歩いていくのは修行僧。いまでも修行僧のいる本格的な禅寺なのである。
左側には袴腰鼓楼。
見事なまでなシンメトリーだ。
仏殿は正面が7間、重層の立派なもの。
写真中央の方丈(?)はは
奥には庫裏が見える。
経蔵。
経蔵の内部。
経巻棚の下部に仏像らしきものが並んでいる。
輪蔵の起源はおそらくチベット仏教のマニ車だと思われるが、マニ車も教典を入れて廻す装置であり、中国を経て日本に伝来してもその原則は変化することはなかったのであろう。仏教では教典や参詣者が回転することはあっても、仏が回転するという形態が見られないのだ。(もちろん例外はいくつかあるようだが、回転する仏が体系的、継続的に造られたことはないはずだ。)
もしこのように経巻棚に仏像を並べることが根づけば回転する仏という新たな展開にも結びついたと思うのだが。
開山堂。
ところで、この寺に三重塔があるということをつい最近になって知った。さすがに旅から帰って1年もたっているので無念さは感じない。むしろ「はぁ~?三重塔なんていったいどこにあったんだ?」と呆れただけである。
なんでも仏殿の左の奥のほうの山中に離れて建っているらしい。ぜんぜんそんな雰囲気は感じなかったが。この寺を訪れるときは三重塔を見逃さないように要注意だ。
2年後の2003年4月27日、岡山市を訪れる機会があったので、三重塔を見学することにした。
三重塔への道は「この奥にも何か伽藍がありそうだな」という感じがまったくなく、ただの山道にしか見えない。知らなければ絶対に進もうとは思えないような荒れた道だった。
これは「寺に三重塔がある」というよりも、「寺の裏の山に三重塔がある」というべきだろう。
本当に、これ、曹源寺の伽藍なのか?
三重塔の周りは柵で囲まれていて、よく見えない。
しかも肝心な場所に松が生えている。
松が邪魔すぎる。
こんなもの切り倒してほしい。
山の木は何でも切らないで育てればいいというものではない。景観が悪くなるような木は切るべきだと思う。
塔の意匠は、和洋とゆるい唐様の折衷。
江戸後期の建物というが、一層などは材木が新しく見え、戦後くらいの部材ではないかという感じがする。近年修理をしたのかもしれない。
(2001年05月01日訪問)