総社神社

小正月の夜に執り行われる筒粥の神事。

(群馬県前橋市元総社町1丁目)

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総社神社は、新前橋駅の北方約1kmほどにある神社。この神社の北西には国分寺跡もあり、古墳時代~平安時代にはこの地域に国府が置かれていた古い土地だ。

国府庁舎の正確な位置はわかっていないが、国府に併設される「総社」として作られた神社が今に伝わっているのだから由緒のある神社なのである。

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拝殿は入母屋造。本殿は極彩色の三間社流れ造で、県重文。

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私が子供のころにこの色に塗り替えられたような記憶がある。それ以前は剥落していたのを修復したのだろうか。

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境内の社殿は充実している。

神楽殿。

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絵馬殿。

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宝物庫。

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末社。

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水盤舎。

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境内裏手には蚕影大神という養蚕の神様や、道祖神などが祀られている。

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この神社には小正月(1月14日)の夜に「筒粥(つつがゆ)」の神事というものが伝わっている。

かつてどんど焼きが小正月(1月15日早朝)に行われていたころ、私はこの筒粥を見てからちょっと仮眠してどんど焼きに繰り出すという小正月を過ごしていた。そのため、筒粥の神事は何度か見にきたことがある。

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筒粥の神事とは、お粥を利用してその年の天候や農作物の吉凶を占うものだ。一般名称でいえば「粥占(かゆうら)」である。

14日の夜の23時ごろからその行事が始まる。

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初め、宮司が拝殿にあがり祝詞をあげる。ここでは筒粥に使う材料を清めるようだ。

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これらがその材料。

左が屑米、右がヨシ、ほかに備長炭が使われる。

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粥を作る場所は拝殿前の炉。特に囲いなどもなく、見学している氏子も数人なので、好きなだけ近づいて見学できるのがこの神事の特徴といっていいだろう。

まず炉で炭が燃やされ、粥を煮るための湯をわかす。この火に備長炭がくべられて赤々と熾ってくる。

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その炭を12本取り出して、炉端に並べてあおぐ。

この炭の熾り具合が12ヶ月の天候を表わしている。炭の長さの上、中、下に黒っぽい箇所があるかどうかで、上旬、中旬、下旬の天候がわかるという。

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鍋で湯がぐつぐつと煮えてくると、そこに屑米を投入してゆるいお粥を作る。

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次に鍋にヨシを短く切った「(つつ)」を束にしたものを2つ投入して一緒に煮る。そしてそれぞれの束の上に、「春」、「秋」と書かれた紙を置く。

筒一本がひとつの作物に対応していて、粥が冷めてから、ヨシを割って中に何粒の米粒が入っていたかによって、作物の豊凶を占うのだ。

この夜には結果は知らされず、次の日以降に結果が拝殿の横に張り出される。

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これが占いの結果。

上に貼られた赤丸が天気を表わしている。縦に引かれた線を読めばよい。たとえば、7月の中旬には少し天気が悪くなる、10月の中~下旬には長雨という具合だ。

下に貼られているのは作物ごとの占い結果。「タバコ」のようにもはや群馬県では生産されていない作物や、「大麻」のようにごく少量しか生産されていない作物も占われている。

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「蚕」は「十分」なので当たり年だ。

「けし」って、あの「芥子」のことなのだろうか・・・。

私は大正月の初詣よりも、小正月の民俗的行事のほうが好きなので、総社神社にこの占いが張り出されると、本当に年が明けたなという気がするのである。

(2010年01月14日訪問)

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