志木市まで来たので、立て続けにもうひとつ富士塚を見ておこう。
田子山富士と呼ばれ、埼玉県内でも屈指の名富士塚で、ずいぶん昔から来たかったのだが、あまりにも市街地にあるため何となく面倒くさく感じて、訪問するのはきょうが初めて。
由緒書きによれば、もともと富士塚があったところに明治時代に各神社を合祀して現在の神社になったようだ。
境内に入ると、まず巨大な富士塚が目を引く。植え込みなどもきれいに管理されてる。全体が見渡せるレイアウトもいい。
でも残念ながらきょうは入山日ではないため、登れなかった。
ただ、看板を見ると入山日はかなり多い!
1ヶ月に10日ほどある。富士塚マニアだったら年に2日くらいでも納得しそうだが、月10日ってすごくない? 登りたい側からすればありがたいが、地元の保存会の負担はかなりのものだろう。
基本的には友引、大安の日は入山可能。その他のスケジュールは保存会のサイトで確認できる。
例祭の日にも登れるようだ。
入山の心得も特に厳しい内容はなく、常識の範囲。
物見遊山的な信仰装置を持っている寺社には、ここは信仰の場だら観光客には見せない!みたいな感じのところもある。そのくせテレビ局や芸能人が来ると、普段人を入れないようなところまで入れたりするダブスタぶりにモヤっとすることもあるのだが、この富士塚はかなりウエルカムな雰囲気だと思う。
いつまでもこんな雰囲気であってほしい。
では境内を見ていこう。
鳥居をくぐって境内に入ると、左手に不動明王がある。
基壇に滝が作られているというすばらしい造形。
ほかに庚申などが並んでいる。
その横には「明治三十七八年戰捷記念碑」がある。「戰捷」は「戦勝」の異体字。
つまりは日露戦争の戦勝を祝って立てた碑だ。
鳥居の右側を見ていく。
最初にあるのがカッパ像。
この神社は崖線にあって、すぐ裏を新河岸川が流れている。かつて江戸と川越を結ぶ物流の大動脈であり、志木市はその河岸として繁栄した。川とは深いつながりがあるのだ。
カッパの隣りには水盤舎。
その隣りには「敷島子安神社」という末社がある。
祠は新しいが、2階建ての構造になっている。
2階には
1階には丸石があり、この石をなでると御利益があるという。楽しい造りだ。
その隣りには水神宮。
石碑があるだけだけど、まわりを溶岩で囲って石庭が作ってあるので、お参りしてみようか、という気にさせる。そしてなぜか五重塔もある。
敷島神社は鳥居の正面ではなく、右にオフセットした位置に配置されている。
鳥居の正面は富士塚と浅間神社になっているからだ。
境内の右半分にはベンチなどが並び、参拝者がくつろげるようになっている。
その奥には社務所がある。
神社のパンフレットや文化財案内などが無料配布されている。
御神木のケヤキは根が痛まないように、木道が回っている。
柵をめぐらせて立入禁止にするのではなく、あくまでも近くで御神木と触れ合えるようにしているのがいいね。
力石があった。きょう3ヶ所目。
敷島神社の拝殿。
拝殿の横には干支の大絵馬が並んでいる。
絵馬に気を取られて本殿の写真を撮りわすれたが、中の間で接続した神明造の本殿だった。
本殿の左側には末社の鷺宮神社。
本殿の右側には末社の敷島稲荷大明神。
ここにとっても面白いものがあった。それがこの写真なんだが、、、、
鳥居のトンネルのミニチュアである。
この神社の楽しさって、一人の人のパワーなのか、それとも、氏子たち全体のノリなのか。随所にこうしたサービス精神があふれているのだ。
稲荷社の右側には護国神社、その右側は神輿庫。
続いて、富士塚のほうへ行ってみる。
富士塚の登山口にある狛犬。
富士の溶岩の岩山と組み合わせたダイナミックなポーズがすばらしい。
右側は琴比羅神社。
左側が浅間神社である。
富士塚の全景。
途中にある朱の鳥居がワンポイントとなって景観を引き締めている。
富士塚をひと回りしてみる。
富士塚の裏側へ回っていく。
神社は崖線にあり、富士塚の裏側はそのまま崖線の斜面になっている。かつては、新河岸川をゆく高瀬舟から見上げることができただろう。
中腹の木の下に不動明王と二童子が見える。
この富士塚の裏側には胎内窟が再現されている。
富士塚を訪れたら、忘れずに裏側へ行こう。
本物の富士山にも、周囲に溶岩樹型や風穴を利用した胎内潜りがいくつかある。それを再現したものだ。
図を見ると、内部で分岐した複雑な構造になっているらしい。
ただ、入口をみた感じでは内部はかなり狭そう。ほふく前進じゃないと入れないんじゃないか。
たぶん開放デーはないと思われる。
まぁ仕方ないかなぁ。
胎内潜りが再現されている富士塚ってたまにあるけれど、入れるとこってあるのかな・・・。
富士塚も御胎内も入れなかったが、神社全体に細々と楽しい要素があったので、けっこうおなかいっぱいになった。
入山日に来ればもっと楽しめそうだけど、なんだかこれで満足してしまったので、次に来るのはだいぶ先になるだろう。
(2022年04月12日訪問)